生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年3月22日
 
 

事業評価の技法 (じぎょうひょうかのぎほう)

technique for the evaluation of the learning opportunities
キーワード : 事業評価、事業計画、アウトプット、アウトカム、評価指標
原義彦(はらよしひこ)
1.事業評価の目的と意義
  
 
 
 
  【定義】
 生涯学習領域における事業評価とは、「事業活動の実態や成果を分析・測定し、実施機関・施設・団体等の目標や当該事業の目標に照らして解釈・価値判断を加えること」といわれる。事業評価には、公民館等が行う各種の学級・講座のような個々の事業(個別学習プログラム)の評価と、個々の事業の総体としての全体評価があり、これには年間事業評価や中・長期的な事業全体の評価などがある。
【目的と意義】
 事業評価の目的は、事業計画・目標の策定や改善に生かすための資料を得ることである。したがって、それによって得られた資料は、当該事業計画の改善、次期の同テーマの事業の計画、次年度の年間事業計画、中・長期事業計画等の策定等に活用される。なお、このような事業評価のうち、事業の終了後に行なわれる評価は、計画(P)→実行(D)→評価(C)→改善(A)というマネジメン・トサイクルの中の一過程として捉えるのが一般的である。一連の計画(P)→実行(D)→評価(C)→改善(A)の流れはこれで完結するのではなく、評価(C)を経て、改善(A)され、より効果的な、あるいは質の高い計画(P)として具現化されることが期待される。事業評価の目的はこの点にある。
 このような目的で行なわれる事業評価には以下のような意義があるといわれる。
 第一は、いうまでもなく当該事業、年間事業計画、中長期事業計画等の改善である。
 第二は、その結果を生かすことで、事業の実施にかかる予算、施設・設備等の運用や人的スタッフ等の活用等の改善や効率化を図ることができる。
 第三は、事業評価によって当該事業等の結果や成果を示すことで当該事業等の意義を明確にすることができる。さらには、当該事業の実施機関・施設・団体等そのものの意義を示すことにも有効である。
 第四は、事業の意義を明確にすることは、事業予算等の財源の確保にも有効である。
 さらに第五の意義として、評価結果を公表することは、特に公的な機関・施設・団体にとっては説明責任を果たすことにもなり、あるいは情報公開の一環として位置づけることが可能である。
【種類】
 事業評価は、評価を誰が行うか(評価主体)、何を評価するか(評価対象)、いつ評価するか(評価の時期)、どのように評価するか(評価方法)などによって分類することができる。例えば評価主体のちがいでみれば、自己評価と第三者評価(他者評価、外部評価などともいう)がある。評価対象のちがいでみると、事業実施前の段階で予想される影響を評価するアセスメント、事業の実施プロセスを評価するプロセス評価、利用者数や参加者数など事業の結果を評価するアウトプット評価、事業の結果を通じて生じる人々の意識や行動の変化や地域社会の変化など、事業の成果や効果を評価するアウトカム評価がある。また、評価の時期によって分類すると、事業実施前に行う事前評価(診断的評価ともいう)、実施の途中に実施状況の確認や計画の修正等のために行う中間評価、事業実施後に行う事後評価がある。実際の評価はこれらの分類をいくつか組み合わせて行なわれる。
 
 
 
  参考文献
・浅井経子「生涯学習関係の事業評価の考え方」、井内慶次郎監修、山本恒夫、浅井経子、椎廣行編『生涯学習[自己点検・評価]ハンドブック —行政機関・施設における評価技法の開発と展開—』文憲堂、平成16(2004)年、pp.10-15
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.