登録/更新年月日:2015(平成27)年1月1日 |
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【世界の人口動態】 世界全体の人口は、2050年には95.5億、2100年には108.5億になると予測され 、世界全体では増加の一途をたどっている。人口の増加は、主に現在の発展途上国で顕著であり、2050年に人口の多い国として予測されている上位10ヵ国には、インド、中国、ナイジェリア、米国、インドネシア、タンザニア、パキスタン、コンゴ、エチオピア、ウガンダなどの国々が挙がっている。現在の主要先進国7ヵ国のうち、この上位10ヵ国に入るのは米国のみであり、フランス、英国とカナダは現在よりも僅かに人口が増加するとされているが、日本、ドイツ、イタリアの3ヵ国は大幅な人口の減少が予測されている。 【少子高齢化の要因】 人口減少の大きな要因である少子化は、合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)が低い状態で長期継続することで生じる。先進諸国では成熟した社会の特徴として晩婚化・未婚化の傾向があり、押しなべて少子化が進行している。そのため、先進諸国の多くでは、家族政策、特に具体的な子育て支援策などで出生率を上げるための積極的な対応を行っている。少子化に直面する先進諸国の中で人口が増加している国の要因は、移民を積極的に受け入れていることにあり、移民による人口流入を想定しなければ、人口が維持できる人口置換水準を下回る人口減少は主要先進諸国共通の現象である。 一方、高齢化については、出生率を高め、それに伴い人口全体に占める高齢層の比率を下げることで社会全体の高齢化を回避しようとする対応がなされることが多い。このような対応で少子高齢化が回避されるのであれば、それは「避けられる高齢化」である。しかし、平均寿命が伸び、ベビーブーム世代が高齢化し、長寿化することで生じる高齢層の増加は、医療技術の進展に伴う必然的結果である。これは「避けられない高齢化」とされる。 先進諸国の多くが直面している高齢化とは、実は長寿化に伴う「避けられない高齢化」である。生産年齢人口(15‐64歳)に対する高齢人口の占める割合が年々高くなることは、出生率をあげる政策のみでは通常は対応不可能であり、長寿化に伴う高齢化は、程度の差はあるが先進諸国共通である。 【社会への影響】 このような少子高齢化により生じる社会への影響は、第一に、生産年齢人口における労働力不足により、モノやサービスを生産し供給する「サプライサイド」と、モノやサービスを購入し消費する消費活動という「デマンドサイド」の二つの側面において経済活動が減少することに現れる 。第二に、高齢者に対する年金、医療、介護等に関わる社会保障費支出増大による社会負担が生じる。先進諸国全体の公的医療支出は、高齢者の増加により年々増加しているが、各国の政府財政の悪化から支出抑制が一様になされる傾向があり、「避けられない高齢化」の現状では、膨れ上がる公的医療支出は削減されざるを得ないのが現状なのである。 br> |
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参考文献 ・United Nations, World Population Prospects:The 2012 Revision, Highlights and Advance Tables, 2013. ・OECD, Health Spending Continues to Stagnate, Says OECD, OECD Health Data 2013, 2013. |
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