生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

青少年とボランティア活動 (せいしょうねんとぼらんてぃあかつどう)

youth and volunteer work
キーワード : 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について、教育改革国民会議、ボランティアコーディネーター、事前学習、山形方式
佐久間章(さくまあきら)
3.事例「山形県の高校生ボランティアサークルの活動」
  
 
 
 
  1)「山形方式」の概要
 山形県では、地域を単位とした高校生のボランティア活動が盛んに行われており、他県にはあまり例を見ないことから、「山形方式」として注目されており、山形県のYと青少年(ヤング)のYに、楽しくにぎやかな「わいわい」をかけて、「YYボランティア」と呼ばれている。学校単位でのボランティア活動は、卒業とともに活動が終わってしまい、継続することが難しいが、地域単位にすると、高校を卒業して社会人あるいは大学生になっても、引き続きさまざまなサークルなどを通じて地域でのボランティア活動を継続することができるというものである。
 この「山形方式」といわれる高校生を中心とした輪は、地域の後輩である中学生、そしてサークルの「卒業生」へと広がり、現在、県内およそ80のサークルで1,600人を超える青少年が、各地域で活動を展開している。長年のサークル活動のなかで、親子二世代にわたり参加している家庭もある。また、その活動拠点も公民館やコミュニティセンター、生涯学習センターなどであり、かつての「大人のためだけの施設」がボランティアサークルの活動拠点となっている。
2)「山形方式」のはじまり
 「山形方式」は、ほぼ四半世紀も前の昭和52年に、西川町の高校生28人によるグループの結成が始まりである。当時の派遣社会教育主事が勤め先の駐車場にたむろしていた3人の若者に「何か面白いことをやってみないか」と声をかけたのをきっかけに、13の高校に在籍する28人が学校の枠を超えて、子ども会を対象にラジオ体操とジョギングを楽しむ「おはよう走ろう会」を実施する。自然に地域を巻き込み、その開催は年間50回を超え、この自主的サークルは、各地の社会教育主事や公民館職員たちの指導者から注目され、ボランティア講座やフェスティバルへの参加などを通じて、さまざまなタイプのサークルの数を増やしていった。
3)活動の状況
 自分達で企画する活動内容は、身近な地域社会を舞台に公民館などでの小さな子ども達との交流会や少年教室的な事業、図書館・幼稚園での読み聞かせの活動、障がい児との交流、国際交流、老人ホームなどの福祉施設への訪問、道路や施設などのクリーン作戦に代表される環境美化活動、地域で行われる祭りや文化祭、スポーツ大会など地域行事の手伝いなど多岐にわたっている。中でも、雪国という要素に加え、高齢化・過疎化に即して一人暮らしの老人宅の雪下ろしという山形ならではの社会福祉活動が見られるのも特徴的である。それぞれのサークルは、地域にマッチしたユニークなサークル名を、高校生自らが付けている。会員数は2人から68人までさまざまだが、20人前後がほとんどであるという。四半世紀という歴史があることから一期生はすでに40歳代となるが、こうしたOB・OGにより、数年前には「高校生ボランティア卒業生の会」設立され、後輩たちを支援していく仕組みが出来上がっている。
 山形県では、これらの活動を、青少年自身の社会力を強めるとともに、大切な「地域における教育力」ととらえ、その活動の輪をさらに広げていくための支援を行っている。
 
 
 
  参考文献
・中央教育審議会『青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について(中間報告)』平成14(2002)年4月
・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター、平成13年度学習プログラムとその効果的な実施に関する調査研究『青少年とボランティア活動』平成14(2002)年3月
 
 
 
 
  



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