生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年1月6日
 
 

青少年教育施設における水辺活動 (せいしょうねんきょういくしせつにおけるすいへんかつどう)

water-front activities in youth education facilities
キーワード : 青少年教育施設、水辺活動、指導
青木康太朗(あおきこうたろう)
2.青少年教育施設における水辺活動の実施状況とその役割
 
 
 
 
  (1)青少年教育施設における水辺活動の実施状況
 青少年教育施設で行われている水辺活動に関する全国規模の調査はこれまで行われていないことから、青少年教育施設における水辺活動の正確な実施状況は把握されていない。
 しかしながら、平成16(2004)年12月に独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター(現在は、独立行政法人国立青少年教育振興機構の教育施設のひとつである。)が実施した「青少年教育施設の概要に関する全国調査」(対象施設数:1,185施設、回収数:704施設、回収率:59.4%)では、施設で実施可能な活動に関する調査を行っており、その結果には水辺活動の実施状況も含まれている。そこで、同調査の結果より青少年教育施設における水辺活動の実施状況をみると、最も多かった種目は「川・沢遊び」で191施設(27.1%)となっており、次いで「海水浴」が81施設(11.5%)、「カヌー」が79施設(11.2%)、「磯遊び」が71施設(10.1%)、「カッター」が32施設(4.5%)、「ヨット」が20施設(2.8%)、「ウィンドサーフィン」が6施設(0.9%)、「サーフィン」が5施設(0.7%)となっている。
(2)学校教育における水辺活動の実施と青少年教育施設の役割
 平成14(2002)年度に施行された学習指導要領では、小学校の体育、中学校の保健体育において、自然とのかかわりの深い活動のひとつとして水辺活動が明示され、学校の実態に応じて積極的に水辺活動を行うことが求められるようになった。
 財団法人日本マリンスポーツ普及教育振興財団の「水辺活動の教育への導入に関する調査報告書」(平成15(2003)年)によると、学校教育における水辺活動の実施率は小学校で32%、中学校で23%と報告されている。このような背景には、授業時数等、「時間的な問題」があるものの、「指導者不足」や「施設の問題」、「安全管理上の問題」、「用具の問題」といった水辺活動を実施するための環境の整備不足が大きな課題となっている。そのため、水辺活動の実施に必要なハード・ソフト面が整備されている青少年教育施設の存在は、学校教育において水辺活動を実施・推進するうえで大きな役割を担っている。
 平成19(2007)年7月20日に施行された海洋基本法の第28条第1項では、「国は、国民が海洋についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育の推進、(中略)、海洋教育に関するレクリエーションの普及等のために必要な措置を講ずるものとする。」としている。このことから、今後は、学社融合の考え方にたって、さらに学校と青少年教育施設が一体となり、水辺活動の実施・推進に積極的に取り組んでいくことが望まれる。
 
 
 
  参考文献
・独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター「青少年教育施設の事業運営に関する調査」報告、平成18年3月
・財団法人日本マリンスポーツ普及教育振興財団「水辺活動の教育への導入に関する調査報告書」、平成15年
 
 
 
 
 



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