登録/更新年月日:2011(平成23)年1月24日 |
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「教育」ということばは、多義的に使われ様々な意味に解釈されている。語源的には、中国からの外来語として上代以来知られており、漢字の原義では、‘ならう’と‘やしなう’という異なる意味を持つことばと考えられている。「教育」という和語は、明治以降、英語のeducationの翻訳語として使われるようになるが、外部から知識や技術を与えるという側面と、自らそだつという側面があり、教育の受け手の受動性及び能動性という両面から語られている。 教育は、その対象と行われる場所により、家庭教育、学校教育、社会教育、社員教育など、多様に行われている。それらは、意図的な教育と無意図的な教育に分けられるが、ここでは、社会制度として意図的に設けられた学校教育を中心として「朝の読書」の教育的価値について述べる。 現在、日本の学校教育は、文部科学省が告示する学習指導要領に基づいた教育課程に位置付けられている指導(教科及び領域の授業)と、時間割の授業としては位置付けられていない指導(広義の生徒指導)の2つの面から構成されている。生徒指導は、「学校がその教育目標を達成するための重要な機能」であり、「一人一人の児童生徒の個性の尊重を図りながら、同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現ができるような資質・態度を形成していくための指導・援助である」と定義されている。このように領域概念ではなく機能概念として捉えられている生徒指導の究極の目標は、「自己指導能力」(児童生徒が自分で自分のことを指導していく力)を身に付けていくことにある。この生徒指導の目標は、「朝の読書」の目的との関わりが極めて深い。 「朝の読書」とは、学校において教育課程に位置付けられた授業が始められる前の一定時間、一人ひとりの児童生徒が自分で選んだ本を黙読する教育活動である。「朝の読書」の具体的な読書時間は、10分間としている学校が最も多いが、15分〜20分間をあてている学校も見られる。活動の基本は、児童生徒が持参した本を所定の時間、自分の座席で黙読することである。読書活動を定着させるために学級文庫を予め準備したり図書館の本をまとめて貸し出したりすることで、その中から各自が選んだ本を読むようにさせる、読んだ本を題材にブックトークを実施するなど工夫して取り組む教育実践も見られる。読書教育としての目的には、児童生徒に読書習慣を身に付けさせることにある。 しかしながら、「朝の読書」には、“みんなでやる”、“毎日やる”、“好きな本でよい”、“ただ読むだけ”という4原則がある。この4原則を提唱した林公氏は、読書教育をとおして、「生きる力」の育成、人間形成を図るなど、純粋な読書教育とは異なる目的を示している。「朝の読書」は、読書という教育活動を手段としているが、「朝の読書」固有の目的には、生徒指導の目的と重なる点の多いことが示されている。 br> |
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参考文献 ・船橋学園読書教育研究会編著『朝の読書が奇跡を生んだ』高文研、1993. ・林公編著『心を育てる朝の読書』教育開発研究所、1999. ・林公『朝の読書の原点を求めて−生きる力を育む授業』メディアパル、2000. ・林公『朝の読書−その理念と実践』リベルタ出版、2007. ・文部省『生徒指導の手引(改訂版)』、大蔵省印刷局、1981. ・文部省『生活体験や人間関係を豊かなものとする生徒指導』(生徒指導資料 第20集)、大蔵省印刷局、1988. |
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