登録/更新年月日:2006(平成18)年11月2日 |
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【市民公益活動支援基金の形態】 市民公益活動に対する支援基金の代表的な形態には、以下の3つがある。 1)自治体等が支出した原資をベースとした預金利息等の運用により、その運用益を活動資金に充てる「果実運用型」 2)自治体等が支出して積み立てた原資を毎年一定額を使い、取り崩していくことになる「取り崩し型」 3)自治体が自費で一定額の基金の原資を積み立てるとともに、市民等からの寄付を募り、その寄付金額と同等の金額をさらに自治体の費用で上乗せし、寄付金と上乗せ分が支出額より多い場合、その残りを基金の原資として積み立てる「マッチング・ギフト型」 この中で比較的関心が高いとされる支援基金の形態が「マッチング・ギフト型」基金である。この形態の支援基金は協働型基金として位置付けられており、新たな地域創造につなぐことができる点に利点があるとされる。基金の特徴としては、市民が市の一般財源の使途に直接関与できるという住民参加の視点があること、寄付行為が重要なポイントになることなどがある。 支援基金の制度化では、1)基金条例の設置、2)限度額の設定等の明確なルールづくり、3)基金とその運用に関する広報・広聴及び啓発、4)運用等に関する情報公開、5)税制上の優遇措置、6)寄付者に対する情報提供等の新しい対応策を必要とする。また原資に関わる問題としての寄付者の募集、貸付制度の活用等、制度運用に関わる課題の検討も求められている。 【新しい補助金制度への期待】 「公募制」による補助金制度や市民公益活動支援基金のような新しい補助金制度が生み出す効果予測については、以下の10項目があがる。 1)NPO等の市民公益活動団体や組織の育成・支援につながる。 2)「まちづくり」という地域形成に寄与できる。 3)行政・市民の両セクターの自立と協働につながる。 4)新たな「公共」によるサービスがより一層に進展する。 5)市民が自分たちの活動の課題を明確化できる。 6)市民が行財政構造を知り、自分たちの活動の組み立て方を学ぶことができる。 7)「貰いきり」という依存的な考え方が問われる。 8)返金等が生じることにより「使い切る」という無駄で安易な考え方がなくなる。 9)補助申請や報告または自己評価等の行為によりマネジメント効果が発生する。 10)行政評価システムへの移行を進め、行政のリストラが実施できる。 1)〜4)については、ボランタリーな市民社会の構築という期待がある。また新たな「公共」によるサービスの提供を行う上で、行政と市民の基本的なスタンスとしての「分責」を可能とする効果がある。5)〜9)については、市民セクターの自己学習力の育成に繋がる効果があり、それによって市民セクターに必要とされるセルフ・ガバナンス能力の形成が進むものと考えられる。10)については、リストラを単に財政上の問題とするのではなく、行政が提供すべき公共サービスが何であるかを問い直す機会とすることが重要である。 br> |
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参考文献 ・「市民公益活動における促進諸施策のあり方について(答申)」(大阪狭山市市民公益活動促進委員会,2003年) |
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