生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

学校教育とボランティア活動 (がっこうきょういくとぼらんてぃあかつどう)

school education and volunteering
キーワード : 学習指導要領、教育改革国民会議、振り返り学習、ボランティア・パスポート、市民科
林幸克(はやしゆきよし)
2.学校教育にボランティア活動が定着した経緯
 
 
 
 
  【動向】
1)学習指導要領改訂
 学校教育は学習指導要領に則って教育内容が決められ、教育活動が展開される。その学習指導要領の中に「ボランティア活動」の語が初めて登場するのは、1998(平成10)年・1999(平成11)年改訂の学習指導要領からである。道徳、特別活動(学級・ホームルーム活動、生徒会活動、学校行事)、総合的な学習の時間といった領域の中にボランティア活動が位置づいた。周知の通り、学習指導要領は法的拘束力を有するもので、そこにボランティア活動の記述がされたことは注目すべきことであった。
2)教育改革国民会議
 教育改革国民会議が2000(平成12)年に最終報告「教育を変える17の提案」を提出して以来、ボランティア活動を取り巻く状況は大きく動いた。人間性豊かな日本人を育成するために「奉仕活動を全員が行うようにする」と提案されたことを受けて、2001(平成13)年に、文部科学省は「21世紀教育新生プラン」を策定した。その中で「多様な奉仕・体験活動で心豊かな日本人を育む」ことが挙げられ、奉仕活動・体験活動の充実及びそのための学校教育法、社会教育法の改正などを施策として掲げた。2001(平成13)年には学校教育法、社会教育法が一部改正され、学校と教育委員会は、ボランティア活動等社会奉仕体験活動の充実・奨励に努めることとされた。
3)中央教育審議会答申「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」
 2002(平成14)年の中央教育審議会答申「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」では、教育活動全体を通じたボランティア活動の体験活動を充実させるために「学校行事等の特別活動、総合的な学習の時間をはじめ教科等の学習指導、及び部活動等の課外活動など教育活動において適切な位置付けを行うこと」が求められた。また「ボランティア活動は、特に中・高生にとって、人間としての幅を広げ、大人となる基礎を培う意味で教育的意義が大きいが、現状では十分に行われているとは言い難い」とされ、その対策として、「高校生等が行う学校や地域におけるボランティア活動などの実績を記録する「ヤング・ボランティア・パスポート(仮称)」を都道府県や市町村単位で作成」することが提示された。
4)ボランティア活動への参加状況
 2003(平成15)に実施された第7回世界青年意識調査報告書によると、ボランティア活動について、「現在、活動している」が3.3パーセント、「以前、したことがある」が31.7パーセント、「まったくしたことがない」が63.2パーセントであった。1998(平成10)年に実施された第6回調査では、「現在、活動している」より以下、順に、2.7パーセント、22.2パーセント、74.7パーセントであった。1993年に実施された青少年のボランティア活動に関する調査報告書では、「現在、活動している」が5.3パーセント、「以前、したことがある」が27.9パーセント、「まったくしたことがない」が66.9パーセントであった。これらの調査結果をみると、ボランティア活動に取り組んでいる割合が劇的に増加しているとはいえず、ほとんど変化していないとみることができる。
 
 
 
  参考文献
・長沼豊・柴崎直人・林幸克編著『特別活動概論』久美、2005
・社団法人日本青年奉仕協会『青少年ボランティア活動推進者ブックレット』2004
 
 
 
 
 



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