登録/更新年月日:2007(平成19)年3月15日 |
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昭和61(1986)年,臨時教育審議会(第二次答申)は,生涯学習の観点から,職業教育に関する提案を行った。同答申では,社会教育に対して「人生の各段階における様々な学習需要にこたえられるよう社会教育のシステム整備や職業能力の開発の充実に努める」ことを期待し,学校教育に対して「将来のよき職業人を育成する」ために職業教育を振興することを求めた。この提唱には,とくに学校教育に対し,日ごろの教育活動が,「人生」や「職業」,換言していえば「生きること」や「働くこと」と疎遠ないし乖離して営まれていることへの警鐘の意味合いが込められていた,と思われる。これ以降,学校教育としての職業教育は徐々に振興の方向にある。 職業教育は,実体験すなわち「働くこと」と結びつくことによって,その成果がより確かなものとなる。実体験のひとつが就労体験・職場体験であるが,これらの体験活動は,近年,インターンシップといわれることが多い。このインターンシップは,「教育改革プログラム」(平成9(1997)年1月24日文部省)および「経済構造の変革と創造のための行動計画」(平成9(1997)年5月16日閣議決定)」によって,「学生が在学中に自らの専攻,将来のキャリアに関連した就業体験を行なうこと」と定義されている。これらによる定義の特徴は,とくに大学生,高等教育機関に照準が当てられているところにある。 しかし,本項のテーマは「青少年」である。職業能力の開発や将来のよき職業人を育成するための職業教育ないし職場体験が,大学生のみに限定して推進する蓋然性はない。真の職業能力の開発や職業人の育成は,高校生も小・中学生も視野に入れられてこそ成果が得られるものであり,こうした考え方は生涯学習の考え方にも叶うものであろう。また,これを推進する責務は,学校教育のみならず,当然,社会教育も負うべきものであろう。このようなことから,本稿の意図は,幅広く「青少年」と捉えることにあったものと考えられる。 このように考えると,「青少年の職場体験」の定義は,前掲のインターンシップの定義よりも幅広くなり,「在学青少年が,学校の教育課程または社会教育活動を通して,自分自身の職業観・勤労観の確立や将来の職業選択,キャリア形成に繋がる就業体験をすること。」ということになろう。しかし,すでにインターンシップの用例は定着化している。このため,インターンシップとの混乱を避け差別化を図るうえで,ここでは,在学青少年の中心に中学生を据えることが現実的と思われる。 職場体験によって,青少年は現代っ子に欠けるといわれる「責任感の向上」をはじめ,専門・専攻分野の「学習意欲の向上」,「職業適性の発見」と「キャリアデザインの構築」,職業に関する「知識・技術の習得」と「企業や他者からの客観的評価」,就職後の「職場への適応力や定着率の向上」など多様な資質・能力を向上させる機会を,企業側は「生徒や学生の理解」,「実践的な人材の育成」,「学校との相互理解」などを,学校側は「企業の理解」,「子どもの適正理解」など,ともに大きなメリットを得ることが可能となる。 なお,実際の,職場体験の実施形態は,1日企業見学,数週間の研修的就労体験,夏・冬・春休みなどの長期休業中における就労体験,長期間の労働実践など,企業と学校との協議により決定・採用されている。 br> |
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参考文献 ・佐藤ほか『人材育成としてのインターンシップ』労働新聞社 ・村上龍『13歳のハローワーク』幻冬舎 ・産学連携教育日本フォーラム『インターンシップ/産学連携教育白書』2005年 ・兵庫県教委『トライやる・ウィーク5年目の検証(報告)』平成15年 ・兵庫県教委『地域に学ぶ「トライやる・ウィーク」のまとめ』平成18年 ・http//wwww.tohoku.meti.go.jp/sangaku/intern/5/2htm |
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