登録/更新年月日:2007(平成19)年3月3日 |
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学力について明確な定義はないが、ここでは、人間らしく生きていくために身に付けるべき知的な能力と理解することとする。 1)「確かな学力の向上のための2002年アピール『学びのすすめ』」 「確かな学力」が社会的な課題になったのは、直接的には、平成14(2002)年1月17日、文部科学省「確かな学力の向上のための2002年アピール『学びのすすめ』」である。そこでは、「新しい世紀を迎え、・・・これからの社会を担う児童生徒が主体的、創造的に生きていくため、一人一人の児童生徒に『確かな学力』を身に付けることが重要になると考えます。」と基本を述べ、具体的な方策として次の5点を実施することとしている。 ア.きめ細かな指導で、基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける。 イ.発展的な学習で、一人一人の個性等に応じて子どもの力をより伸ばす。 ウ.学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高める。 エ.学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける。 オ.確かな学力の向上のための特色ある学校づくりを推進する。 2)文部科学省の方針 平成17(2005)年度の文部科学白書では、「『生きる力』の概念図」として、「生きる力」を中心に、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を周辺に置いて構造的に示している。その中では、「確かな学力」を「知識や技能に加え、学ぶ意欲や、自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力など」としている。 3) 中央教育審議会(答申)「新しい時代の義務教育を創造する」(平成17(2005)年10月26日) その後も国は、一貫して確かな学力の意義を強調しているが。そこには課題もある。課題としては、この答申の叙述が参考になる。答申の「第U部、第1章(2)教育内容の改善、ア.基本的な理念・目標」では、学力について次のように示している。 「現行の学習指導要領の学力観について、様々な議論が提起されているが、基礎的な知識・技能の育成(いわゆる習得型の教育)と、自ら学び自ら考える力の育成(いわゆる探求型の教育)とは、対立的あるいは二者択一的にとらえるべきものではなく、この両方を総合的に育成することが必要である。 これからの社会においては、自ら考え、頭の中で総合化して判断し、表現し、行動できる力を備えた自立した社会人を育成することがますます重要になる。」 習得型の教育と探求型の教育とをどう考えるべきかが課題であったが、「対立的あるいは二者択一的にとらえるべきものではなく」としたことへ多くの人が納得した。確かな学力という言葉が、ややもすると知識習得型の教育の必要性を強調しているように受けとめられがちである。しかし、両者は対立でも二者択一でもないのである。 br> |
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参考文献 |
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