登録/更新年月日:2017(平成29)年1月7日 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
【定義】 学習成果の活用支援は、職業や社会生活を通じて学んだこと(学習の蓄積)を、自己または他者、社会に生かされるよう支援する活動である。 学習の蓄積・学習歴は、それ自体が知識やコンピテンシーとして評価することもできるが、自己や社会のさまざまな活動の場面で目的と結びつくことで初めて学習成果として意味付けられ「成果化」する性質がある。また、実際に自己や社会の課題解決に役立った結果は「活用の成果」と捉えることができる。このような「学習の成果化」や、「活用の成果」を得るための支援も学習成果の活用支援である。 【説明】 生涯学習の高まりの中で、学習成果を活用したいとする者は多い。内閣府が行った「生涯学習に関する世論調査」(平成24(2012)年)では、「身につけた知識等を活用したいと思う」が77.7%に上る。また、同調査の中では、その活用状況として人生や健康、職業など自身の活用が多い一方、地域や社会での活用は21.8%となっている。 社会・経済の大きな変化の中で地域や社会の課題は複雑化しており、その課題解決に多様な人材の参加が期待されている。中央教育審議会は、学習成果を一人ひとりの職業や社会生活に生かすことと合わせて、地域や社会の課題解決への活用が一層求められているとし、その支援の必要性を指摘している(平成28(2016)年答申)。 市民の学習は、学習機関でのフォーマル、ノンフォーマルな学習だけでなく、職業や社会生活の多様な経験の中で学ぶインフォーマルな学習も多く、その中には専門性の高い知識や実践力としてのコンピテンシーも含まれる。これらの知識・コンピテンシー等が地域や社会に生かされるよう支援することは、市民の学習成果の社会化と、多様な人材の顕在化をもたらす意義がある。 個々人の知識・コンピテンシーが他者や社会の課題解決に実際に役立つかどうかは、生かしたいと考える対象のニーズとの適合や、その生かし方に左右される。また、個々人が認識する学習成果だけでなく、他者や社会の課題と結びつくことで初めて学習成果として意識されることも多いと考えられる。この点についてコミュニティ・オブ・プラクティス(実践コミュニティ)の研究では、ボランタリーなコミュニティ活動に参加する中で、自身の学習歴の中から新たな役立て方に気付く効果が指摘されている。学習成果の活用支援にあたっては、この2つの「学習成果化」の側面を考える必要がある。 br> |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
参考文献 ・内閣府「生涯学習に関する世論調査」(平成24年7月) ・中央教育審議会学習成果活用部会「個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について(答申)」(平成28年5月) ・エティエンヌ・ウェンガーほか著、櫻井祐子訳、「コミュニティ・オブ・プラクティス」、翔泳社、2002 |
|||||||||||||
『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。 |
|||||||||||||
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved. |