生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

青少年教育施設の指導系職員 (せいしょうねんきょういくしせつのしどうけいしょくいん)

キーワード : 青少年教育施設の多様化、指導系職員の人材育成、指導系職員の能力と資質
加藤雅晴(かとうまさはる)
3.期待される資質、能力
  
 
 
 
  ア. 施設職員としての自覚を持つ
 青少年教育施設には、様々な職員が配置されている。庶務、会計などの事務処理を主な業務とする者、調理に従事する者、清掃業務を行う者など施設の規模に応じていろいろな職種の人が置かれている。施設の管理、運営はそのような人々の総合力が結集されたものとも言える。その意味では、利用者から見れば、誰もが施設の職員であり「先生」である。これらの職員と指導系職員を峻別すべきではない。
 ただ、既述したように指導系職員の場合には、教員にその人材の多くを求めていることもあって、ともすれば「心此処にあらず」であったり、腰掛け的になりがちである。それでは、青少年を感動させるような指導はできない。それが2,3年であっても、そこに勤務している期間は、施設職員としての矜持と自覚を失わずに青少年と接することが望まれる。
イ. 必要な能力
 青少年教育施設は、既述のように社会教育施設と位置づけられているが、その利用者の多くは在学している児童・生徒である。つまり、「学社融合」の接点になる所と見なすことも出来る。従って、指導系職員には社会教育、学校教育の両領域に関する知見が必要となる。とりわけ、教員から登用された職員には、最低でも社会教育主事の資格取得に必要な科目(「生涯学習概論」「社会教育計画」など24単位)程度の知識、技術が求められる。
 それ意外にも、青少年教育施設特有の識見ともいえるスポーツ、レクリエーション、野外活動、生活指導、グループ指導等々広汎な知識、技術が必要であろう。
ウ. プログラム指導
 指導系職員の重要な職務の一つにプログラム指導がある。これこそが、施設における研修活動の成否を決めるといっても過言ではない。団体・グループのプログラムを尊重しながら、その集団の成長度、成員の所属意識等々を理解した上で、当該施設の設備や周辺の自然環境など諸々の活用可能な情報を提供し、より充実したプログラムを企画立案できるよう手助けすることが指導系職員としての重要な役割である。
エ. 弾力的な発想を
 青少年教育施設が設置されてから半世紀になろうとしている。かくも長期間施設が存在することが出来たのは、それなりの理由があってのことであろう。施設において集団生活のルールの大切さや自然に対する畏敬の念を培うなど「不易」の部分を堅持しながら、時代の変化など「流行」の部分に対しても対応を怠らなかったからであろう。
 指導系職員は、この「流行」にアンテナを張り、単に前任者から引き継いだことを後生大事に守るだけではなく、今、青少年が求めているものは何かを常に考えながら、「流行」の部分を大胆な発想で変革しようとする強い意志を失ってはならない。
オ. 得意な領域を持つ
 指導系職員の職務は、大別して直接指導と間接指導がある。前者は、青少年に対し直接野外活動や講義などの指導を行うことであり、後者は、前述のプログラム指導などである。
 直接指導の是非に関しては様々な意見がある。施設によってはそれを行わない所もある。ただ、指導系職員が野外活動や音楽など得意な分野を持ち、その特技を活かして青少年を直接指導することは、本人の自信にも繋がったり、利用者と職員間の人間関係が強まるなどメリットも多く、必ずしも否定されるべきものではない。
 
 
 
  参考文献
岡本包冶「新しい社会教育の実務」ぎょうせい、平成4年
加藤雅晴「青少年教育施設の方向」青年の家の現状と課題第21集、(社)全国青年の家協議会、平成5年
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.