登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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代表的な社会教育施設といえば公民館、図書館、博物館であろう。社会教育施設である以上そこには施設の中核となる専門的職員が配置さていなければならない。事実、博物館には学芸員、図書館には司書、公民館には主事が置かれ、それぞれの職務内容、資格要件が法によって明確にされている。 例えば、学芸員については博物館法により「博物館に、専門的職員として学芸員を置く。」(第4条第3項)とされ、「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業ついての専門的事項をつかさどる。」(同条第4項)と職務内容が明記されている。更に法第5条により資格要件も明確にされている。 司書については図書館法により「図書館に置かれている専門的職員を司書及び司書補と称する。」(第4条第1項)とされ、「司書は、図書館の専門的事務に従事する。」と職務内容が明らかにされている。また、法第5条により資格要件も明確にされている。 公民館の主事についても、学芸員や司書程明確な規定ではないが、社会教育法により「公民館に館長を置き、主事その他必要な職員を置くことができる。」とされ、「主事は館長の命を受け、公民館の事業の実施にあたる。」と、一応職務内容が明らかにされている。 ところが、博物館、図書館、公民舘と同じく社会教育施設と位置づけられている青少年教育施設の指導系職員については、なんら法的規定はない。法的根拠はないが、実際には大部分の国公立の青少年教育施設には指導系職員が置かれている。国立の場合には専門職員として、公立の場合には社会教育主事や指導主事などの職名で配置されている所が多いようである。 いずれの場合にも、その前職は学校の教員であった者がかなりの数に上る。「青少年教育施設職員の資質向上の在り方に関する調査研究報告書」(国立青少年総合センター)によれば、その割合は44%に及ぶという。つまり、青少年教育施設の指導系職員は、国公立を問わず教員の助勢によって施設の教育性を保持しているとも言える。しかも、3年程の期間の施設勤務を経て学校現場に戻る場合が多い。そしてまた、どこかの学校から新人の指導系職員が配置される。 このことは必ずしも、全面的に否定されるべきはない。学校教育と社会教育の連携、協力の重要性を考えれば、むしろこのような人事交流は望ましいとも言える。ただ、今日の青少年教育施設を取り巻く問題、課題を見た時、従来のような手法では現状を維持することすら困難になるように思われる。 青少年教育施設における教育性を重視するなら、学芸員や司書のように資格要件を定め、その有資格者を任用する方途を真剣に検討すべきである。当面、法改正など現実味がないことを考えれば、日本生涯教育学会が認定する方法もあろう。 いずれにせよ、指導系職員の資格要件や専門性を明確にし、腰掛け的に勤務するのではなく、生涯の仕事として情熱を持って打ち込むような人材を養成することが急務である。事実、国立の青少年教育施設においては、指導系職員を中心とした施設プロパーの職員を採用しており、今後の活躍が期待される。 br> |
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参考文献 岡本包冶「新しい社会教育の実務」ぎょうせい、平成4年 加藤雅晴「青少年教育施設の方向」青年の家の現状と課題第21集、(社)全国青年の家協議会、平成5年 |
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