登録/更新年月日:2012(平成24)年12月11日 |
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【説明・動向】 我が国の生涯学習研究者は、積み重ねてきた研究の中でキャリアに関する部分について次のように述べている。浅井経子は、我が国の生涯学習政策は「経済的価値よりも人間的価値を重視してきたが、女性の社会参画促進や大量の非正規社員対策等の必要から職業教育を無視できなくなりつつある。しかし職業知識・技術の向上関係の学級講座数・ニーズは減少傾向であり、地域におけるキャリア教育にいかに取り組むか、生涯学習における人間的価値と経済的価値の調和」が今後の生涯学習政策の課題であると述べている。山本恒夫は、「我が国の生涯学習は、生きがい追求から変化の激しい時代を生き抜くための資質・能力の開発・伸長に必要な生涯学習へと変貌を遂げつつあり、必要に応じて学習を行うモナド(単体)型から、現在の必要性と次の人生活動の準備のために行う2つの学習を同時並行的に行うダイアド型(2つ組)の生涯学習」へと移行することの必要性を示唆している。 経済・雇用情勢の変化から生涯学習研究にキャリアデザインという視点が必要であることは疑いがないが、生涯学習研究におけるキャリアデザインとは何かという概念を具体的に検討することが課題となっているといえる。「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」(平成16年)によれば、キャリアとは、「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」であり、キャリアをデザインすることは生涯にわたる。生涯学習とは、「人々が自己の充実・啓発や生活の向上のために、自発的意志に基づいて行うことを基本とし、必要に応じて自己に適した手段・方法を自ら選んで、生涯を通じて行う学習」(昭和56年中央教育審議会答申「生涯教育について」)であり、自己の充実・啓発や生活の向上という充実したキャリアをデザインするためには、必要に応じて自らが生涯を通じて学習する必要がある。明確なキャリアデザインがあって、必要な生涯学習も明確になる。その意味では、キャリアデザインは生涯学習の指針という位置づけになる。生涯にわたって質の高い生き方を計画的に設計するために生涯学習は基礎的リテラシーであるといえる。 br> |
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参考文献 ・浅井経子「生涯学習政策30年と日本生涯教育学会」『日本生涯教育学会年報第30号』日本生涯教育学会、平成21(2009)年、巻頭言pp.E-F ・山本恒夫「日本生涯教育学会30年と生涯学習研究」『日本生涯教育学会年報第30号』日本生涯教育学会、平成21(2009)年 、pp.5-9 ・安部耕作「キャリア・デザイン論の焦点−エドガー・シャインの見解を軸に−」『日本生涯教育学会論集』日本生涯教育学会、平成24(2012)年 |
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