生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年7月27日
 
 

生涯学習活動としての英会話学校 (しょうがいがくしゅうかつどうとしてのえいかいわがっこう)

キーワード : 生涯学習活動、英会話学校、通学型スクール、オンライン型スクール、eラーニング
秋山豊(あきやまゆたか)
1.英会話学校の現状とその類型
  
 
 
 
  【英会話学校の現状】
 わが国における英語教育産業の市場規模はおよそ3兆円で、その中でも英会話学校の市場は7,000億円ともいわれている。経済産業省の『平成17(2005)年特定サービス産業実態調査(確報)』によると、外国語会話教室を営む企業は1,144企業となっており、このうち英語・英会話教室を開設しているのは約91%にあたる1,042企業である。
 平成17年(2005)度の受講者の割合は、男性が4割、女性が6割となり、年代別では20歳未満が最も高く、次いで20代、30代、40代となっている。またここ近年では60代以上では前回比で男性、女性とも約30%の増加傾向となっているのも大きな特徴である。
 そして、年間の売上高は1,928億円で、1企業あたりでは約1億7,000万円となっている。受講者一人当たりの支払額は約18万円となり、わが国では、今日においても英語教育の市場規模はますます拡大しているといえる。
【従来の英会話学習の方法】
 今日、英会話学習は、より広く人びとの間に生涯学習活動として認識されている。従来の語学の学習方法は、(通学型の)スクールに通い教師と対面で学習をする方法が一般的であった。しかし、この方法では、時間的・空間的に制約されることが多く、多忙な人や、近くにスクールがない場合には不向きであるといわざるを得ない。また、料金に関しても、入学金や授業料、設備維持費などの高額な初期費用が負担となる場合があった。
【通学型スクールの特徴】
 通学型スクールの大きな特徴としては、仕事後の帰宅途上や、さまざまな地域から通学することによる交通の利便性等の条件から、立地が駅前などに集中する傾向が挙げられる。このことは、受講者側に立った視点からの配慮ではあるが、その一方で受講者が支払う金額の中には、高額な家賃としての設備維持費が含まれているため、結果的にレッスン料が高額になり、受講生に不利な状況が生じてしまう傾向がある。
【オンライン型スクールの特徴】
 通学型に対する類型として、CD-ROMやDVD、参考書や雑誌、テレビ、ラジオなどの視聴覚メディアを活用した形態があるが、ここではインターネットを活用した形態のものをオンライン型スクールと呼び、焦点を当てる。
 オンライン型のスクールの場合には、立地場所の問題等は発生しないため、レッスン料を低額に抑えることが比較的容易である。ただし、学習形態が独学となる場合が多いため、サポートが必要となる。すなわち、学習者が意欲的に継続して学習することができるよう教材が構成されていること、学習者同士のコミュニケーションが十分に取れる環境が整っていること、学習内容が理解困難であったり停滞した際に、自己解決可能となるようなQ&Aが豊富であることなどである。
 インターネットを利用した生涯学習活動は、時間的・空間的要因が影響して学習活動を行うことができない人びとにとって新しく画期的な学習ツールになりつつある。従来までの学習活動は、教える側と学ぶ側が直接的に対面で行うことで、その活動が行われていた。しかし、今日においては、その学習形態も変化してきている。集合学習ではなく個人学習で、また直接的ではなく間接的に行われる学習活動を通じて行う生涯学習活動が、高度化した情報社会においてますます意味を持つものとなるであろう。
 
 
 
  参考文献
・経済産業省 特定サービス産業実態統計
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabizi/result-2.html
 
 
 
 
  



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