生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

アメリカの高齢者教育 (あめりかのこうれいしゃきょういく)

Education for older people in the United States
キーワード : gerogogy、教育老年学、年齢差別、ニューエイジング、グローバルエイジング
伊藤真木子(いとうまきこ)
3.実践的動向・事例
  
 
 
 
   本や雑誌など各種メディアを通して、また教会やシナゴーグ、ナーシングホーム等で行われる、日常的な学習にも注目すべきだが、以下では、全米規模で組織的に高齢者のための学習プログラムを実施する機関をいくつか挙げる。
1)シニアセンター
 1943年ニューヨーク市のソーシャルワークの拠点として設置されたセンターをモデルに、1965年のアメリカ高齢者法に基づく総合的な高齢者サービスの拠点として全国的に整備された多目的施設。全国に12,000箇所余りあり、利用者数は年間1千万人を越える。健康の維持促進に資する学習・活動プログラムを中心に、ほぼ無料で提供。
2)AARP
 1958年設立のアメリカ退職者協会(American Association of Retired Persons)が改称した非営利組織。会員(50歳以上)間で、政治・経済関連の情報交換や、各種の学習・ボランティアを行う。会員数はほぼ3,500万人。1963年に発足させた生涯学習協会(Institute of Lifetime Learning)は、全米の高等教育機関の高齢者への開放を促し、1973年に発足させたアンドラス・ジェロントロジーセンターは、全米の老年学研究を推進してきた。
3)エルダーホステル
 1975年に試行的に実施された宿泊学習プログラムを継承し、会員(55歳以上)向けに種々のプログラムを提供する非営利組織。提携先の高等教育機関等(Lifelong Learning Institute)での1週間程度の宿泊を伴う、趣味・教養的なプログラムが中心。実費負担で、年間20万人以上が参加。日本にも1986年にエルダーホステル協会が設立された。
4)高等教育機関
 1974年に設立された老年学高等教育協会(The Association for Gerontology Higher Education、1974年設立)の会員機関を中心に、特に公立のコミュニティ・カレッジでは、高齢者のために正規課程への参加プログラムや特別プログラムを用意する機関が増加。授業料減免措置や移送、カウンセリングサービスの提供等、様々な運営工夫がなされ、それらには既存の継続教育部門が担うところと、別途専門部門を設けているところとがある。
5)Senior Corps
 ア.Foster Grandparents(1965年から続く世代間交流プログラム)、イ.Senior Companions(1968年から続く友愛訪問プログラム)、ウ.RSVP(1969年から続く地域活動プログラム)、に関わる学習・訓練プラグラムを提供。1994年設立のボランティア振興機関Corporation for National and Community Serviceの下部組織として位置づけられており、参加者(55歳以上)は年1〜2万人。
6)シニアネット
 1986年、高齢者に対するコンピュータの貢献度をはかる研究プロジェクトを受けて設立された非営利団体。240箇所余りあるラーニングセンターを運営し、50歳以上の会員を対象に、コンピュータに関する知識や技能を伝授し(2001年までに10万人以上)、インストラクターとして養成する(2001年までに4千人以上)などしてきた。日本にも2001年に「シニアネット・ジャパン」が設立された。
 
 
 
  参考文献
http://www.aoa.gov/
http://www.aarp.org/
http://www.elderhostel.org/
http://www.aghe.org/
http://www.seniorcorps.org/
http://www.seniornet.org/
(2005年10月30日参照)
 
 
 
 
  



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