生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年3月22日
 
 

市町村における大学の役割 (しちょうそんにおけるだいがくのやくわり)

role of the university in the community
キーワード : 大学、生涯学習支援、市町村、地域貢献
原義彦(はらよしひこ)
3.市町村における大学の生涯学習支援の視点
  
 
 
 
  【説明】
 小項目2に示した分析を通して、市町村における大学の生涯学習支援の役割について考えてみたい。
 第1に、大学が果たす多様な生涯学習支援の役割の中で、大学も重要性を認識し、かつ市町村からの期待も大きい内容を優先的に具体化することが、大学および市町村の双方にとって最も意義のあることといえる。小項目2で見たように、この領域には、公開講座や中高生を対象としたセミナー等の直接的な生涯学習支援の項目のほか、人材養成、研究の推進、学生の社会貢献活動に関する項目があった。したがって、これらに具体的に取り組んでいくことが期待される。その際には、必ずしもそれぞれに具体策を考えていく必要はなく、それぞれを関係づけて取り組んでいくことの方が現実的である。例えば、実践に直結する研究の推進を図るとともに、その成果を公開講座やセミナーを通して広く地域の人々に理解をしてもらうような取り組みが考えられる。このほか、実践に役立つ人材養成の1つとして学生の社会貢献活動を推進すること等もある。このような関係づけはこれまでにも行われてきたであろうが、ここで示された具体的な項目を手がかりに新たな組み合わせを考えることもできるだろう。
 第2は、上記以外の領域にみられる項目の扱い方に関することである。いうまでもなくこれらの領域の項目も生涯学習支援の内容であり、重要度や期待度が高くないからといって、支援の必要がないということにはならない。例えば、大学が考える重要度は低いが市町村からの期待は高い「資格や免許を認定する講習を実施すること」、重要度は平均よりやや高いが期待はやや低い「社会人入学の定員を増やすこと」等の項目も、生涯学習支援の内容として必要であることに変わりはない。ただし、その具体化にあたっては、程度の差ではあるが重要度と期待度にはそれぞれちがいがあるので、それらを配慮していくことが必要であろう。
 そのための具体策として、例えば、大学の重要性に対する認識が低ければ、大学教職員の意識の啓発に努め、市町村の期待度が低ければ大学からの情報提供を充実するなどして、市町村の期待を高めるように努めることなどがあげられる。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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