生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月2日
 
 

指定管理者制度 (していかんりしゃせいど)

designated manager's system
キーワード : 指定管理、民間事業者、管理委託制度、公の施設、地域再生推進プログラム
今西幸蔵(いまにしこうぞう)
1.指定管理者制度の説明
  
 
 
 
  【定義】
 指定管理者制度とは、地方自治法第244条にある「公の施設」を、法人その他の団体(民間事業者を含む)を指定して、その管理を行わせることができるという制度である。
【説明・動向】
 制度を導入するにあたっては、平成15(2003)年3月に閣議決定され、6月に地方自治法の一部(地方自治法第244条の2および4)が改正、9月から施行された。同年10月に内閣に地域再生本部が設置されて、公務の民間開放や市場開発という政策理念が掲げられ、平成16(2004)年2月に地域再生推進プログラムが示されたことに関連する。
 指定管理者制度は、「多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的とする」(総務省局長通知)という趣旨のもとに成立している。
 従来の「公の施設」は、地方公共団体が他の機関に施設管理を委託する場合、当該地方公共団体が出資する法人、公共団体、公共的団体に限定される「管理委託制度」を採用してきた。しかし本制度の導入によって、これまで管理委託されてきた施設は指定管理するか直営にするかのいずれかを選択しなければならなくなった。本制度導入には、各地方公共団体ごとに手続き条例を制定する必要があり、指定管理者を指定する際には議会の議決が求められている。
 管理委託制度と指定管理者制度を比較すると、一般的に「管理委託制度」では、当該地方公共団体が2分の1以上の出資をしている法人(たとえば管理のための財団法人や社団法人など)、土地改良区などの公共団体、農協、生協、自治体などの公共的団体が「受託管理者」となっている。指定管理者制度は、管理委託制度よりも管理主体および業務の範囲の緩和をめざしているため、民間事業者(民間企業や地域型の民間団体)などの能力や柔軟さを幅広く活用しようとする特色がある。
 指定管理者制度を導入することの意義については、次の4つをあげることができる。
1)管理委託制度の改善
 施設の利用許可など広範な権限を指定管理者に委任することであり、その自由裁量において住民へのサービスの改善が図れる。
2)多様な住民サービスへの対応
 多様化する住民ニーズに向けての効果的、効率的な対応と、民間事業者が有する柔軟性を活用することにより、新しいサービスの提供と施設の有効活用が図れる。
3)行財政改革への対応
 地方公共団体が自ら判断し、責任を持って公共サービスを供給するという点で、そのための選択肢を拡大するという意味がある。
4)市民活動の育成と生涯学習社会の実現
 社会教育施設のような地域密着型施設の場合は、地域型の民間団体を指定管理者とすることが適していると考えられており、新しい生涯学習の進展が期待される。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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