登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【博物館におけるボランティアの導入と現状】 博物館は歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等の分野で、資料を収集、保管し、展示、教育普及活動を行うとともに、資料についての調査研究を行う機関である。ボランティアは自ら進んで、社会や他者のために、対価を目的とせずに自分が関心のある分野の活動をするもので、博物館における活動の場合、その分野についての知的専門性に係る特色を有する。博物館におけるボランティア活動は博物館利用者の生涯学習への援助を中心にさまざまな活動が行われているが、博物館が行う業務のすべての分野で行われる可能性がある。 ボランティアの導入は、文部科学省が3年毎に行っている社会教育調査によると(平成14(2002)年度調査)、登録博物館と博物館相当施設においては約28%(1117館中331館)、博物館類似施設は約13%(4243館中543館)がボランティアを導入している。 博物館におけるボランティア活動は昭和30年代から導入されているが、一般に公募して導入したのは昭和49(1974)年、北九州市立美術館が展示解説ボランティアを導入したのが最初である。そして、美術館における展示の解説、案内を行うボランティアは各地の美術館へ波及していった。一方、美術館以外の博物館におけるボランティアについては昭和49(1974)年に上野動物園でボランティア団体が発足したが、昭和61(1986)年に国立科学博物館が青少年対象の参加体験型展示への指導助言、昭和62(1987)年に北海道開拓の村が展示解説と、ボランティアが警官の制服を着て解説をする演示という活動をはじめると、美術館以外の博物館においても、そして展示解説以外の活動についてもボランティア活動が導入されるようになった。その後、さまざまな活動が開発されるようになった。 【ボランティア導入の背景】 博物館がボランティアを導入するようになったのは、博物館が調査研究の発表の場、文化の継承、啓蒙の場から地域の生涯学習の拠点として期待されるようになったためであると考えられる。生涯学習施設としての要素が運営の大きな指標になると、博物館は展示とその解説に工夫をし、教育普及活動を拡充するようになった。しかし、自館の人的資源、予算は限りがある。より充実した活動を行うためには、他の機関、団体と連携して事業を展開することをめざす。その連携を地域住民に広げ、地域の人々の視点、知識、経験、能力を博物館活動に生かすことにより、博物館活動が活性化し拡充するとともに、地域に博物館を開き、地域とのつながりを深めることができる。専門家である学芸員以外の市民が学習支援を行うことは、専門性、正確性に問題がないわけではないが、利用者にとってはボランティアは親和性、双方向性が高く、ボランティアの人間性も魅力である。また、ボランティアにとっては、博物館は学習するだけでなく、活動することによって、蓄積した知識、学習した成果をいかす場でもある。学習は読んだり聞いたりするだけでなく、話したり書いたりという交流を目的として表現することで深めることができる。 br> |
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参考文献 ・博物館法 ・社会教育調査 ・日本博物館協会『博物館のボランティア実態調査に関する報告書』1987年 ・日本博物館協会『博物館ボランティア活性化のための調査研究報告書』1994年 ・北九州市立美術館編刊『北九州市立美術館20年誌』1994年 ・国立科学博物館編刊『教育ボランティア10年のあゆみ』1996年 |
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