登録/更新年月日:2010(平成22)年1月5日 |
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【キー・コンピテンシーの定義】 キー・コンピテンシーとは、経済開発協力機構(Organisation for Economic Co-operation and Development,以下OECD)が、学力の国際標準として示したコンピテンシー概念を指す。OECDは、このコンピテンシー概念を知識基盤社会を担う人々に必要とされるものであり、単なる知識や技能だけでなく生活の中で働く能力であり、技能や態度を含むさまざまな心理的・社会的なリソースを活用して特定の文脈の中で複雑な課題に対応できる学力として定義した。この学力を「主要能力=キー・コンピテンシー(key-competencies)」として位置付けたのであり、概念を表すフレームワークとして3つの広域カテゴリーと、その各々に3つのコンピテンシーを示し、合わせて9つのコンピテンシーを選択、確定した。OECDによるキー・コンピテンシーの定義と選択の作業は1997年12月から始まり、スイス連邦統計局と生徒学習到達度調査(OECD Programme for Internatinal Student Assessment,以下PISA調査)の協力のもとで実施された。DeSeCo計画(Definition and Selection of Competencies Project)と呼び、2002年にコンピテンシーの定義と選択の作業を完了、最終報告書を2003年に刊行した。 【DeSeCo計画の目的】 知識基盤社会においては、知識を創造する人への投資が重要で、国境を越えた知識の急速な伝播・移動により、さらなる競争と技術革新が生まれ、相乗的にグローバル化が進展する。狭義の知識や技能のみならず、自ら課題を見つけ考える力、柔軟な思考力、身に付けた知識や技能を活用して複雑な課題を解決する力及び他者との好ましい関係を築く力など、豊かな人間性を持った総合的な「知」が必要だとされている。こうした社会的要請において国際標準の学力を特定しようとしたのがDeSeCo計画であり、そこからキー・コンピテンシーが形成された。 DeSeCo計画の背景には、統合化の道を歩むヨーロッパ社会が、労働力の流動化などの内包する領域内の課題を持ち、各国がヨーロッパ全域に共通する教育システムの構築や学力標準の策定を始めたという経緯がある。EUを中心に、高等教育領域の「ヨーロッパ教育圏」の構築が進む一方で、義務教育についても戦略的に体制づくりが取り組まれたが、最も重要であると思われるのが「義務教育の目標」の設定である。1995年に開催され、『教育と学習−認知的社会に向けて(白書)』を発表したマドリッドEUサミットに続き、2000年のリスボンEUサミットでは、「2010年までにヨーロッパを最も競争力があり、躍動的な知識基盤経済にする」という目的を掲げた「リスボン戦略」が示された。「知のヨーロッパ」の実現に向けて、EU加盟国間の共通の教育目標が形成されていくことになる。つまり学力指標の策定という課題に向けて,ヨーロッパ各国が取り組みを始めたということであり,各国の成果を集積することによって,国際標準の学力とすべきものを明示することをOECDなどの機関が試みることになったのである。 br> |
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参考文献 ・「キー・コンピテンシーとDeSeCo計画」『天理大学学報』第219輯,天理大学,平成20年。 ・立田慶裕編『キー・コンピテンシー〜国際標準の学力をめざして』明石書店,平成18年。 ・国立教育政策研究所編『生きるための知識と技能−OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2000年調査国際結果報告書』ぎょうせい,平成14年,ほか。 |
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