生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日
 
 

学習相談 (がくしゅうそうだん)

counseling and guidance for lifelong learning
キーワード : 案内情報、アドバイス情報、学習の仕方の学習、コーディネート技法、eラーニング
浅井経子(あさいきょうこ)
1.学習相談の定義、目的、機能
  
 
 
 
  【定義】
 学習相談とは、学習者(学習グループを含む)や学習希望者の学習上の悩みや問題の解決を図る助言・援助活動である。
【目的】
 学習相談の目的として、次のことがあげられる。
1)潜在的な学習ニーズの自覚を促し、実際の学習活動として具体化するようにする。
2)学習活動を行う中で生じた問題や悩みを聞き、その解決を図る。
3)意欲をもって学習活動に取り組み、学習活動が継続するようにする。
 1)については、学習したいが何を学習してよいのかわからないという人も多く、そのような人に対して、潜在的な学習ニ−ズを探り、それを学習者自身が自覚できるようにして、学習活動が始められるように支援することである。
 2)については、学習活動を行っていると、一緒に学習している仲間とうまくいかない、受講している講座のレベルが自分に合わない、団体運営の方法がわからない、などの問題に直面したりする。そのような学習者のさまざまな悩みを聞いて、仲間とうまくつきあうにはどうしたらよいか、その人のレベルに合った講座はないか、団体を運営する上でのコツは何か、などについて助言をしたり、適切な学習情報を提供したりしながら、それらの問題の解決を支援することである。もし、学習者や学習グループがそのような問題を抱えたまま学習活動を続けると、学習意欲をなくしたり活動が停滞したりして、学習活動をやめてしまうことになりかねない。
 3)については、学習上の問題を解決したり励ましたりすることを通して、学習者が意欲をもって学習活動を継続できるように手助けをすることである。
【学習相談の機能】
 学習相談の機能として、次の3つをあげることができる。
ア.学習者と教育・学習資源とを結び付ける機能
イ.学習者の学習上の問題を解決する機能
ウ.学習者の「学習の仕方」の学習を支援する機能
 アの機能とは、学習相談における学習情報(案内情報)提供の機能である。学習情報(案内情報)提供は、一般には、冊子、パンフレット、チラシ、ポスター、広報誌(紙)等を使ったり、インターネットを使ったりして行われるが、さらに学習相談の中でも行われている。
 イについては、学習者が学習相談窓口を訪れるのは、学習していて困ったときなどである。したがって、学習者と学習相談員とのコミュニケーションを通して、学習相談は学習者の学習上の問題を解決する機能がある。これはアドバイス情報を提供する機能ということができる。
 ウの機能についていえば、すべての学習者が十分に「学習の仕方」を身につけているとは限らない。このため、学習者は学習の進める中で様々な問題を抱えることになる。学習相談では問題解決を図る助言等を行うが、学習者は学習相談員とのコミュニケーションを通して「学習の仕方」を学ぶことにもなる。
 なお、「学習の仕方」としては、a.学習目標を明確にして自分にあった学習計画を立てる方法、b. 学習技法・問題解決技法等の知識・技術、c.自己の学習活動の状態を客観的に認識・評価(メタ認知 meta cognition)する方法などをあげることができる。そのため、学習相談では、それらについての助言をすることになる。
 
 
 
  参考文献
・井内慶次郎監修 山本恒夫・浅井経子編著『生涯学習[答申]ハンドブック−目標、計画づくり、実践への活用−』文憲堂、平成16(2004)年
・浅井経子編著『生涯学習概論』理想社、平成13(2001)年
・山本恒夫編著『生涯学習概論』東京書籍、平成10(1998)年
・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター『社会教育主事のための社会教育計画』平成17(2005)年
・文部省・学習情報提供システムの整備に関する調査研究協力者会議『生涯学習のため の学習情報提供・相談体制の在り方』昭和62(1987)年
 
 
 
 
  



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