生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年8月31日
 
 

アメリカの公共図書館 (あめりかのこうきょうとしょかん)

public libraries in the United States
キーワード : 公共図書館、博物館・図書館情報サービス機構、アメリカ図書館協会、公共図書館協会、役割モデル
大庭一郎(おおばいちろう)
1.アメリカの公共図書館の現状
  
 
 
 
   アメリカの図書館統計は、従来、合衆国全国教育統計センター(National Center for Education Statistics:略称NCES)が所管してきた。しかし、2007年10月1日から、公共図書館の統計は、博物館・図書館情報サービス機構(Institute of Museum and Library Services:略称IMLS)の所管になった(大学図書館と学校図書館の統計は、NCESが担当継続)。2009年6月、IMLSは2007会計年度の公共図書館調査を公表した。この調査は、全米50州とコロンビア特別区を対象としており、調査結果から、アメリカの公共図書館の現状が把握できる。
 IMLSの公共図書館調査では、公共図書館は、次のように定義されている。公共図書館とは、コミュニティ、地区(district)、地方(region)にサービスするために、州の機能付与法や法規の下に設立された機関(entity)で、少なくとも以下を備えているものをいう。
(1)印刷体やその他の図書館資料からなる組織化されたコレクション、あるいはそのようなコレクションの結合。
(2)有給の職員。
(3)職員が住民にサービスを行う確立した予定表。
(4)そのようなコレクション、職員、予定表を支える施設と設備。
(5)全部あるいは一部を公費でサポートすること。
 2007会計年度の調査によれば、全米50州とコロンビア特別区に、9,214の公共図書館(administrative entities:図書館行政機関)が存在し、1,544が分館を持ち、683が移動図書館を備えている。9,214の公共図書館のサービスポイントとして、16,604の建物(中央館9,040、分館7,564)、808の移動図書館が提供されている。
 全国の公共図書館のコレクションは、印刷資料が81,250万点(1人当たり2.8点)、録音資料が4,590万点、ビデオ資料が4,630万点ある。サービスを提供するために、145,000人の職員(FTE:フルタイム相当)が雇われており、そのうちの33%が図書館員、67%は他の職員である。図書館員の68%は、アメリカ図書館協会(American Library Association:略称ALA)に認定された図書館情報学教育プログラムから修士号を得ている。
 公共図書館資料の全国的な総貸出点数は22億点、1人当たりの貸出点数は7.4点。レファレンス質問の総処理件数は29,200万件、1人当たりのレファレンス質問処理件数は1.0件である。全国の公共図書館の来館者数は14億人であり、これは1人当たり4.9回来館したことになる。児童資料の総貸出点数は73,970万点(総貸出点数の34%)で、子ども向けプログラムの参加者数は5,900万人である。利用者用インターネット端末の総利用回数は35,700万回、1人当たりの利用回数は1.2回。公共図書館の利用者用インターネット端末は208,000台で、5,000人当たり3.6台である。
 
 
 
  参考文献
・Henderson, Everett et al. Public Libraries Survey: Fiscal Year 2007. Institute of Museum and Library Services, 2009.6, ix,190p. http://harvester.census.gov/imls/pubs/pls/pub_detail.asp?id=122# (cited 2009-08-31)
・McCook, Kathleen de la Pena.『アメリカ公立図書館職入門』田口暎子ほか訳.京都大学図書館情報学研究会,2008.3,xvii,445p.
 
 
 
 
  



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