登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【意義】 近年、子どもの教育をめぐる諸問題(いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊、中途退学者の増加、非行の低年齢化、小中学生による殺傷事件等)が多発し、憂慮される事態にあり、その対応が課題となっている。これらの要因や背景は実に多様化・複雑化の様相を呈し、もはや学校のみの対応では、この種の問題を解決することが困難な状況にあることは明らかであり、家庭や地域の大人を含めた、社会全体で問題を解決していくような体制づくりが必要である。ここに、学校経営としての新しい段階の要請があると言える。その解決の糸口となるのが、教育の諸問題を学校のみで抱え込むような、従来型の学校経営から脱却した新しい経営の視点・手法であり、地域を基盤とした学校経営である。 ここで言う地域教育経営とは、そうした従来型の学校経営から脱却した新しい経営の視点・手法であり、これまでの学校教育と社会教育の連携から一歩進んだ、地域社会の様々な教育機能・資源をトータルに共有・活用することによって、子どもと大人双方の学習支援を実現させる具体的方策である。その確立には、学校教育と地域社会との協力関係を構築していく総合的な教育経営の視点、つまり、ここでの地域教育経営の視点を学校の教育経営に盛り込むことが必要となる。その実践化に向けては、地域における様々な物的・人的教育機能・資源のネットワークづくりが重要となる。 【説明】 ここで、地域教育経営の視点に立脚した実践のあり方を、文部科学省の推進している「地域こども教室」、いわゆる「子どもの居場所づくり」を事例として考えてみたい。この「子どもの居場所づくり」を推進していく上では、学校と地域社会が協力し、大人と子どもの相互の関わりによって活動を推進していくことが、重要な鍵となる。「子どもの居場所づくり」においては、学校や家庭、地域のあらゆる場面で、大人と子どものコミュニケーションの場面を広く確保し、協働的な関係を生み出していくことが中心的な課題となる。 例えば、沖縄県嘉手納町では、当該「地域子ども教室」において、様々な学習内容を提供することによって、子どもの居場所づくりに向けた取り組みを行っている。ここでの「地域子ども教室」は、地域の大人が指導者となり、平日、休日を問わず様々な内容の教室が開かれている。こうした子ども教室は、従来から全国各地で取り組まれているが、同町の注目すべき点は、親子そろって参加するという点であり、教室の開催日が、休日に行われる学校での授業参観日に設定されており、学校教育がイニシアチブをとり、親と子の双方の学習支援を行っている点である。さらに、開催にあたっては、社会教育関係団体(住民の学習サークル、青少年センター、社会教育主事等)やNPO団体が関わって、学習プログラムを提供している。ここでは、子どもの教育・学習の中心となる学校が、様々な機関や団体とネットワークをつくり、子どもだけでなく、親や大人の学習の場ともなり、子どもと大人の教育・学習の双方向的な視点が組み込まれている点が注目されるのである。この視点こそが地域教育経営の視点であり、地域を基盤とした総合的な教育の経営視点である。ちなみに、同町の小・中学校は、全校で学校評議員制度を活用し、地域の意見も参考にしながら学校経営を推進しており、地域を基盤とした学校経営をめざしている。 br> |
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参考文献 |
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