登録/更新年月日:2006(平成18)年10月28日 |
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【説明】 固定電話やケータイにみられるコミュニケーション形態も多くは1:1で行われメール型・会話型である。これらをまとめてマイクロ生態系と呼ぶ。 マイクロ生態系を調べると、最近ケータイをめぐって新手の詐欺が横行している。電話を受ける場合も自分からは名乗らない。日常生活でのマナーも防犯上悪化し、情報環境も進化して、「デジタル・デバイド」では説明が付かない。むしろ「インフォメーション・ギャップ」の概念が必要である。 【課題】 偽の情報が飛び交う情報社会であり、そこで身近に起こった「振り込め詐欺」を中心に調べてみる。さらに情報の格差から犯罪が起こっているのか、「生涯学習」の当面の課題とは何かを探る。 【事例】 今回は固定電話・ケータイの交信環境に視点を置く。既に廃れたはずの振り込め詐欺が新たな手口で頻発し、今や、ケータイが犯罪ツールに変貌している。 福井県鯖江市の事件では平成17(2005)年8月から平成18(2006)年3月にかけて、「振り込め回数」が98回に及んでいた。被害額は1億5500万円で、個人被害額の新記録となっており、教材販売の顧客名簿を悪用し被害者を騙し続けた。この容疑者は平成18(2006)年9月7日に逮捕された。 平成18(2006)年8月23日のNHKニュースではお金の受け取りに民間私書箱が利用されていると報じている。しかも受け取り現場を押さえられないようにバイク便に受け取らせて運搬する手法などがある。移し替えて別の私書箱で受け取る方法もある。被害事例では140万円即時「振り込め」で、「過去の債権抹消手続き」という騙しである。「200万円の融資保証」に幻惑された融資保証金詐欺の被害例が報道された。 まず、振り込め詐欺には3つのタイプがある。 1)身内や関係者を装う「おれおれ詐欺」(固定電話やケータイを使用) 2)身に覚えのない「架空請求」(ハガキや封書を使用) 3)融資保証金詐欺(プリントやハガキなどを使用)以上の3種である。 ところが、マイクロ生態系からみると、ほとんど「思い違い」から引き起こされる事件である。しかも核家族化が進み、相談する相手も少なく、自由だが不意を衝かれると脆い。これらの特色を分析し、情報社会で日常生活に欠かせないリスク回避の具体例を考えてみる。 (ア)「先輩から電話がなかったか」とか「ケータイが変わったから報せておく」とか「携帯電話会社の工事関係者です、工事の都合で今暫く電源を切ってください」と言うのは疑って掛かり、必ず別途の確認を留守宅や身内へ入れること。 (イ)相手は名簿など資料を手元に持っているという想定で、こちらから情報は与えない。「取調べ中」などと言っても、満年齢・現住所を確認させる。また、家族だけの「合い言葉」や「暗号」を決めておく。 (ウ)固定電話はナンバー・ディスプレーの機種にし、血縁者や知人などできる限りあらかじめ登録しておく。更に「番号非通知」の電話や特定の電話番号の着信を拒否すると効果があると言われている。 (エ)日頃から電話だけでなく、パソコン・メールやファクシミリなどできるだけ複数の交信手段を確保して慣れておく。 振り込め詐欺のような生活リスクを回避するには情報モラルをベースとして、情報面の孤立を日頃から防ぐことが重要であり、「生涯学習」の課題の一つでもある。当面の学習目標は情報リテラシーを高め、生活スキルとしての「助け合いネットワーク」を提案したい。 br> |
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参考文献 ・ジョン・フィールド(矢野裕俊・埋橋孝文・赤尾勝己・伊藤知子訳)『生涯学習と新しい教育体制』学文社、2004. ・キム・ムゴン『NQ―人間を幸福にする「思いやり」指数』ソフトバンクパブリッシング、2004. ・日本教育社会学会編『教育社会学研究』第77集、2005. ・アルビン・トフラー/ハイジ・トフラー(山岡洋一訳)『富の未来』講談社、2006. ・日本生涯教育学会年報第26号『変革期における生涯学習推進―研究・行政・実践の課題とアイディア』2005. |
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