生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

社会教育施設における情報通信機器・視聴覚教育設備 (しゃかいきょういくしせつにおけるじょうほうつうしんきき・しちょうかくきょういくせつび)

infrastructure improvement and utilization of ICT/A-V media in facilities for social education
キーワード : 学校及び社会教育施設における視聴覚教育設備状況調査、教育メディア、情報通信機器、ネットワーク接続、教職員研修
吉田広毅(よしだひろき)
3.社会教育施設におけるネットワークの接続状況
  
 
 
 
   文部科学省初等中等教育局が実施した平成15(2003)年度の「学校における情報教育の実態等に関する調査」によれば、ネットワーク対応状況について、コンピュータ教室のLAN整備率は全体で94.8%となっている。これに対して、平成16(2004)年度の状況調査によれば、社会教育施設における来館者等が利用可能なLANの整備率は全体で45.22%と、学校におけるそれと比べるとかなり低い数値である。生涯学習センターと図書館については、過半数の施設がLAN接続を確立しており、ある程度、通信インフラの整備がなされているといえる。しかし、それ以外の社会教育施設については、LANの整備率は全体の39.76%と低い。
 各施設とも今後、インターネット等を通じた情報発信による来館者の獲得や広報の必要性が高まると予想されるため、社会教育施設における情報通信インフラの整備を急ピッチで進めていく必要があると思われる。その際に、特に無線LANの設置にあたっては、情報の漏洩やハッキングに対する対策などサーバのセキュリティに細心の注意を払う必要がある。その一環として、利用のためのガイドラインやマニュアルを作成したり、施設教職員に対する研修などが必要となろう。
 平成16(2004)年度の状況調査によれば、来館者等への情報サービス提供の状況について、社会教育施設の42.82%が来館者等が利用できるインターネット環境を用意していない。学校に関する同種の調査によれば、ほとんどの学校がコンピュータ教室や普通教室、多目的教室などに児童・生徒が利用できるインターネット環境を用意している。
 インターネットの接続先について、来館者等が利用できるインターネット環境を提供している施設の約半数が、公的な機関の提供しているインターネット接続サービスを利用し、半数が民間のインターネットプロバイダと契約を結んでインターネットサービスを来館者等に提供していることが明らかになった。これは学校に関する同種の調査と大差ない内容である。どのような形でインターネット接続を確立する場合でも、セキュリティの保護と有害情報のフィルタリングは重要な課題である。インターネットサービスの提供先と相談をし、これらに対する対策を講じていく必要があると思われる。
 インターネットの回線の接続速度について、約4割の社会教育施設が1.2M以上の高速回線を利用し、18.84%が光ファイバー回線を利用したインターネット環境を来館者等に提供していることが明らかになった。来館者等が利用できるインターネット環境を用意している施設だけでみれば、67.23%の施設が高速回線を利用し、32.61%が光ファイバー回線を利用している。学校に関する同種の調査によれば、学校においては全体の71.6%が高速帯への接続を確立しており、33.6%が光ファイバー回線を利用している。
 インターネットを用いた情報提供の状況について、全体の約8割の社会教育施設が独自のホームページを開設したり、既設のホームページに情報を提供することでインターネットを通じた情報提供を行っていることが明らかになった。学校に関する同種の調査によれば、ホームページを開設している学校は全体の67.6%である。このことから、社会教育施設における情報提供の試みはかなり進んでいるといえる。
 
 
 
  参考文献
・文部省社会教育局『学校及び社会教育施設における視聴覚教育設備の状況調査 報告書』文部省、1972; 1977; 1981; 1984; 1987年
・文部科学省初等中等教育局『学校における情報教育の実態等に関する調査』文部科学省、2003年
・文部省生涯学習局『学校及び社会教育施設における視聴覚教育設備の状況調査 報告書』文部省、1990; 1993; 1996; 1999年
・文部省生涯学習政策局『学校及び社会教育施設における視聴覚教育設備の状況調査 報告書』文部科学省、2002; 2005年
 
 
 
 
  



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