生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年11月7日
 
 

社会人の学びの場としての「ホイスコーレ札幌」 (しゃかいじんのまなびのばとしての「ほいすこーれさっぽろ」)

Hojskole Sapporo as a school for adult
キーワード : 「ホイスコーレ札幌」、生涯教育、社会人学校、デンマーク、ホイスコーレ
生越玲子(おごしれいこ)
2.「ホイスコーレ札幌」の現状
 
 
 
 
   ヘルネスホイスコーレを参考にして、平成20(2008)年東海大学教室を借用し「ホイスコーレ札幌」を創設した。その求める思想は類似であってもデンマークとは社会、経済事情が異なる我が国では我が国に合った学びの場を考える必要があり、形態は大きく異なる。
「ホイスコーレ札幌」は週1日、2時間、12回の講義を1期とし、春秋開催している。受講生は大人を対象に年齢は問わず、毎期50から60名を募集している。受講料を徴収し、これにより、講師料、アルバイト料、諸経費を賄っている。講義は大学教授等及び各分野の専門家に依頼し、内容は多岐にわたる。教室の使用は無料である。なお最終日は修了証書を授与し、何度でも受講可能である。
 第1期から第7期までの講師の延べ人数は84名、受講生は延べ364名となっている。年齢は40代から80代にわたり、継続している受講生が多い。
 東海大学の学生が毎期ごと入れ替わり、助手をしている。学生がスタッフとして仕事をしながら社会人と共に学び、交流をすることに、大学から評価を得ている。大学の教師の講演に「ホイスコーレ札幌」の受講生が参加することも多く、大学の認識が高まっている。
 今までの大きなイベントとしては第4期には、デンマークのホイスコーレ2校のカールセン校長、ニールセン校長両夫妻を招き、東海大学札幌キャンパスと「ホイスコーレ札幌」の共催で『世界一幸せな国をつくった教育の源流を探る』と題し、シンポジュームを開催した。
 第4、5期には受講生を対象に人生のために何が重要かをアンケート調査をし、ヘルネスホイスコーレの調査と比較した。「ホイスコーレ札幌」における重要のトップ5は健康、家族、お金、友人、安全であり、ヘルネスホイスコーレにおける重要さは自己認識、安全、健康、愛、誠意とは異なった。向学心(学び)は両者ともトップ10に入っているなど、興味ある結果が得られた。第6期は4,5期のトップ3項目を除き調査をした。トップ5は友人、学び、趣味、平和、生きがい、であったが、「友人」が群を抜いて高かった。人生の後半は、家族や本人の病気、他予期せぬことを体験することで、仲間の体験を参考にし、また、互いに励まし助け合う機会が多くなり、友人が挙げられたと考える。中には病気からのストレスが軽減している受講生が見逃せない。
 日本生涯教育学会に所属し、多数の会員との交流の機会を得たことで、これを契機に5期修了後には、受講生14名が徳島大学で企画されたフォーラムに参加した。徳島大学の教官、学生、社会人や、中国、韓国、モンゴルの講師、それぞれの国の抱える問題や、民族間の問題を認識した。その後、徳島大学教授から「ホイスコーレ札幌」で講義をしていただいた。このような交流をさらに深めたい。
 「ホイスコーレ札幌」は経験豊かな社会人の集まりであり、また継続者が多いことでコミュニケーションが深まり、受講生は課外研修や交流会の手助けを進んで行っている。第5,6期には東海大学札幌キャンパスの建学祭に、「ホイスコーレ札幌」の受講生が自発的に参加し、売店を出し、学生との交流を図った。建学祭の収益金で、受講生が中心となって受講生、講師、関係者から原稿を募り文集を作成し、『私とホイスコーレ札幌』と題し配布した。受け身だけの集まりではなくなっている。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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