登録/更新年月日:2006(平成18)年10月28日 |
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自然体験活動は、半日から一日単位で実施されたり、宿泊を伴った合宿形態で実施されたりなど、活動のねらいによって多様に展開されている。ここでは学校教育と社会教育における青少年に対する一週間程度の長期自然体験活動の事例を紹介する。 ○江戸川区の「セカンドスクール」 東京都江戸川区では、小学校6年生を対象に青少年教育施設等を利用した6泊7日の「セカンドスクール」を、また、冬季には4泊5日の「ウインタースクール」を実施している。 平成元(1989)年度から実施された江戸川区の「セカンドスクール」は、当時、ニュータウン化に伴う世帯数や児童・生徒数の増加に伴い、子ども達が自然から徐々に疎外されていく現状を受け、区の施策として始まった。現在では「セカンドスクール」の全日程を「総合的な学習の時間」の一環として位置付けると共に、事前指導を含め各教科との関連性を持たせた取組みを行っている。 この事例の特徴は、学校の創意工夫により、児童の主体性や班の協力性を引き出し、自然との直接的な触れ合いを存分に持たせる活動となっていること、さらには、日々の活動全体を通してゆとりを持たせ、時間に追われない展開を行っていることである。 「セカンドスクール」の期間中は、全日程、大学生等の生活指導員を2グループに1人程度を配置するほか、看護士を配置し、休日には保護者やPTAが現地に応援に駆け付けるなど、地域全体での取組みを行っている。 ≪主な活動内容≫ 火起こしと一日3度の食事作りをメインとしたキャンプ生活(学校では「自活キャンプ」と称している)、班毎の自由行動による史跡見学、自然の中での遊び、登山、星空ハイキング、キャンプファイアー、親からの手紙、夜の班会議以後の自由時間など。 この取組みが、長年にわたって継続してきた背景には、保護者やPTAから「セカンドスクール」に対する高い評価があったことにある。すなわち、長期間の親元を離れた自然界での自主的な活動により、子ども達に望ましい変化が得られ、これらの成果に対する評価が極めて高いことによる。自然環境の厳しい非日常的な生活環境の中での7日間の活動は、子ども達にとって忍耐力を求められ、他の仲間との協力性が必要となる。この間、活動を通して、夜の暗さ、水の冷たさ、空気の寒さなど、普段できない原体験を得、期間中の後半には親からの手紙が届くことで改めて家族の大切さを感じている。子どもから見て何でもこなす青年達(生活指導員)は、子ども達にとっての一つのモデルともなっている。 特に子ども達の感想文には、原体験や自然に関する記述が多い。 【自然に関した事柄】 自然の美しさに驚いた、自然の厳しさを知った、自然は素晴らしい、星の美しさに感動した、きれいな虹がかかっていた、そのほか、テントの中のクモ、ヘビ、ナメクジに出会ったなど。 【原体験に関した事柄】 とても暗い、水が冷たい、手が冷たい、とても寒い、雨ですべった、煙で目と喉が痛い、体がびしょぬれなど。 【セカンドスクールの感想】 「家に帰ってゲームができて楽しみだけど、帰ってみるとクラスの友だちとセカンドスクールで生活したほうが楽しかった。」(男子) 「37.8度の熱で登山をした。どんなことでもがんばればできるということ。私はこれを信じてこれからもがんばりたい。(女子) br> |
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参考文献 |
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