生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

社会教育主事の役割 (しゃかいきょういくしゅじのやくわり)

role of Social Education Officers
キーワード : 社会教育法、教育公務員特例法、専門的教育職員、専門的技術的な助言・指導、社会教育主事の専門性
坂本登(さかもとのぼる)
2.社会教育主事の身分・役割
 
 
 
 
   社会教育主事は、「都道府県及び市町村の教育委員会事務局に置」かれる(社会教育法第9条の二)地方公務員であるとともに、あわせて、教育公務員特例法によって、指導主事と並び「専門的教育職員」ということにもなっている。
 地方公務員には、「全体の奉仕者として公共の利益のため勤務し、且つ、職務の遂行にあっては、全力を挙げてこれに専念」(地方公務員法第30条)する服務基準に従って、法令及び上司の命令に従う義務(同32条)、信用失墜行為の禁止(同33条)、秘密を守る義務(同34条)、職務専念の義務(同35条)、政治的行為の制限(同36条)、争議行為の禁止(同37条)などが課せられる。こうした基本的な使命に加え、社会教育主事は、市町村及び都道府県の社会教育職員として、社会教育法の第5条及び第6条に規定される、市町村教育委員会と都道府県教育委員会の事務を遂行する職務を担う。
 また社会教育主事は、教育公務員特例法が規定する専門的教育職員として、「社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える。」(社会教育法第9条の3)役割がある。この「社会教育を行う者」、すなわち社会教育主事が助言・指導する対象の解釈をめぐっては、社会教育関係団体のリーダーや社会教育施設職員など限定的ないし狭い範囲でとらえる考え方と、個人学習、相互学習、メディア利用学習、図書館や博物館等の施設利用、学習情報の提供や学習相談など社会教育の独自性や多様性さらには近年の生涯学習の考え方などから、広く学習者を含める考え方とがある。いずれの考え方に立つとしても、助言・指導は、「命令及び監督をしてはなら」ず、求めに応じて行うことが大原則となる。
 専門的教育職員としての社会教育主事の職務・役割については、いくつかの審議会答申でも言及されている。昭和46(1971)年の社会教育審議会答申「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」は、市町村の社会教育主事の役割として「地域の社会教育計画の立案」「学習活動の促進(学習ニーズの把握、学習意欲の喚起、集会等の開催計画の作成、施設の配置と利用計画の立案、学習内容の編成、指導者の発掘・活用計画の立案)」などを、都道府県の社会教育主事の役割として市町村の社会教育主事の役割に加えて「広域的な社会教育行政の推進」「市町村教育委員会に対する助言・指導」などを列挙した。また、今日の社会教育主事養成の基準となっている「社会教育主事の養成について」(昭和61(1986)年、社会教育審議会成人教育分科会)は、「地域が当面している問題の把握」「住民の学習関心・学習要求の把握」「地域の教育資源や教育力の把握」「社会教育計画の立案」「事業の円滑的な運営」「社会教育指導者に対する指導・助言」「学習情報の提供と学習相談事業の整備」「学習集団の組織化の援助」などを例示している。さらに、生涯学習審議会社会教育分科審議会は「社会教育主事、学芸員及び司書の養成、研修等の改善方策について」の報告(平成8(1996)年)で、「社会教育行政の企画・実施」「専門的技術的助言・指導」「自由で自主的な学習活動の側面的援助」「社会教育事業と他分野の関連事業等との連携協力」「地域の生涯学習を推進するコーディネート」を役割に挙げている。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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