登録/更新年月日:2008(平成20)年1月2日 |
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近年、「日本の美しい言葉」を見直し、声を出して語り継いでいこうという動きが、全国各地の小・中・高等学校や地域の生涯学習センター等で展開されている。この美しい日本の言葉は、今や、先人が現代に生きる私たちに遺してくれた貴重な贈りものである。これは、私たちが子どものころ口ずさんできた「学校唱歌」の歌詞の中にも、日本の故郷の美しい情景と自然への畏敬の念、そしてそこに暮らす人々のきめ細やかな心情として歌い継がれている。 ここで文部省唱歌の名曲、「故郷」を皆で声高らかに歌ってみようではないか。 1) 兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷 2) 如何にいます父母 恙なしや友がき 雨に風につけても 思いいずる故郷 3) こころざしをはたして いつの日にか帰らん 山はあおき故郷 水は清き故郷 詞:高野辰之、曲:岡野貞一 (大正3年、文部省唱歌、尋常小学唱歌集) 古来、日本人はこの歌詞にあるように父母への敬慕の心情、友への思いやり等、情緒てんめんとした美しい言葉を歌いつつ日々の生活の中でそれを実践してきた。いま教えの場でこういう学校唱歌をなぜ歌わせないのか。日本人として一抹の寂しさを感じるのは、この私だけだろうか。 「故郷」、「旅愁」、「春の小川」、「朧月夜」、「仰げば尊し」・・・どの歌にも麗しい日本人の心が綴られている。この曲が創られた時代には、いわゆる「いじめ、不登校、学級崩壊」という現象とは無縁の世相であった。しかし、昨今、これが日本での出来事かと耳目を疑うような事件が頻発してる。かつて、日本人は勤勉で人情の厚い民族であり、しかも、教育、交通、通信、医療、治安、生活文化(衣・食・住)等あらゆる分野で世界に冠たる国であると、諸外国の方々から高い評価を得ており、「ジャパン、アズ、ナンバーワン」と言われたこともあった。近年、この神話が崩壊し始めている。今こそ、日本人の心の再興を図る時期を迎えたと言っても過言ではない。 先般、文化庁において「親子で歌いつごう日本の歌百選(親から子、子から孫へ)」というメッセージが出された。歌を通じて日本人が培ってきた「麗しい心情」を後世に継承していくことは今や時代の急務である。 私は、これまでのように、日本国として、また、日本人として本来の姿に少しでも立ち戻って欲しいと願いつつ、これからも先人たちが遺してくれた珠玉のような言葉を「古典文学・詩文・抒情歌」をモチーフにして、地域における多くの人々に語り継いでいきたいと思っている。 br> |
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参考文献 |
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