登録/更新年月日:2009(平成21)年9月15日 |
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【定義】 公理的方法によって構成された形式的体系のこと。個々の具体的な体系は、公理論といわずに、公理系(axiomatic system)といわれることも多い。 【説明】 公理論は公理的方法によって構成された形式的体系で、公理論という言葉の使い方には、そのような体系論をいう場合と、個々の体系そのものを指す場合とがある。公理的方法というのは、いくつかの命題を公理として設定し、そこから一定の規則を用いてある体系のすべての命題を導出する演繹的な体系構成法のことである。 よく知られているように、ヒルベルトがユークリッドの公理系以外にも公理系を作ることが出来ることを証明して以来、公理的方法は急速に拡がった。これは、理論研究にとって、きわめて有効性のある強力な方法だからである。 ユークリッド幾何学、ヒルベルト幾何学、公理的集合論、群論などはこの方法で構成されており、記号論理学では、古典論理学、様相論理学、量子論理学、直観主義論理学、限定合意、厳密合意など、数多くの公理系が存在する。また、自然科学、社会科学の多くの領域で、公理的方法による理論が作られている。 今日では、このような公理論は無公理の公理論までも含めて数多く存在する。たとえば、非古典論理学(多値論理学)の1つである様相論理学(modal logic)だけでも、特別の名称をもつ公理系が100近くある。 現在の公理的方法は、あるテーマ(たとえば平面幾何学)についての基本命題を、定義なしの専門用語と古典論理学(二値論理学)や数学の用語を使って書き表すことが一般的である。その場合、論理用語や数学用語についての説明はしないし、定理の証明方法についての規則も述べないのがふつうである。 また、古典的な公理的方法では、公理(基本命題)は絶対的な真理とされていたが、現在では、公理はあるテーマについての命題にすぎず、そのテーマに関して真であるにすぎない。したがって、いくつかの公理論があり、それらのテーマに基本的な違いがあれば、ある公理論の公理と他の公理論の公理が矛盾してもおかしくはないのである。 しかし、われわれの関心に合った公理論がない場合には、それをつくらなければならない。事象と関係の理論(「生涯学習事象・関係論」を参照)もその一種である。 br> |
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参考文献 ・杉原丈夫『非古典論理学』槙書店、1975 ・山本恒夫「理論体系と研究方法―生涯学習研究のために―」(筑波大学社会教育学研究室編『生涯学習の研究―辻功先生退官記念論文集―』同研究室、1991、所収) ・山本恒夫『関係計算の方法』筑波大学教育学系生涯学習学研究室、1997 |
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