登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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ア.中等教育レベル 国家教育省では、中等教育レベルの訓練及び資格取得のために、コレージュやリセなどの近隣の中等教育機関約10校をグループ化し、その教育機関の施設・設備・職員を利用するかたちで企業や地域住民のニーズに対応した教育訓練を提供している。これは、通称産学共同職業訓練グループ(GRETA)と呼ばれている。地方分権化の動きを受けて、現在22の地域圏(region)を拠点に、各県(department)1つ以上、全国で290以上のGRETAが形成されている。提供する教育訓練は、各種領域の専門職業教育、語学、ディプロマ・資格取得(例:水準Vの職業適格証(CAP)、水準III中級技術者養成課程の修了免状(BTS))などである。職業訓練を受ける対象者は、現職者で企業等の委託によるもの、「教育訓練休暇」(CIF)取得者、失業者、個人などである。 イ.高等教育レベル 高等教育レベルでは、国立大学に付置される「継続教育センター」が組織的受け皿となり、企業側からの要請としての在職者の職業能力向上と、個人側からの要請としての免許・資格取得に応じ、バカロレア取得後の高度専門的な知識を付与する各種講座を提供している。講座内容は、大学の自主編成の場合と企業等の契約に基づく場合がある。講座受講に際し、選抜試験があり、試験、論文等で一定の成績を修めることが修了用件でもあり、内容的には大学院レベルのプログラムが大半を占める。社会人対象ではあるが、これらのプログラムでは、正規課程で授与される免状、資格などが所定の要件で取得できる。また、国立理工科大学(institut national polytechinique)やパリ政経学院(Institut d’etudes politiques)などのグランゼコールでも、大学と同様に高度職業資格を取得するためのコースを提供している。 その他、国立工芸院(CNAM)では、バカロレア取得者で上級レベルの技術者・エンジニア、管理職を対象としたプログラムを伝統的に実施してきた経緯がある。ここでは、企業派遣、教育訓練休暇取得者を対象とするとともに、労働者が勤務しながらも勤務時間外に学習できるよう、主として夜間と週末に学習プログラムを編成している。 このように、中等教育レベル、高等教育レベルなど、必要とされる職業資格水準や教育程度に応じて国家教育省管轄の相当する教育機関が、それぞれの特性を生かした職業継続教育の場を提供している。 生涯教育政策の一環として職業・教育資格制度を整備し、労働者の学習の権利を保障する制度やプログラムを整備することは、個人の生活水準の向上や国家の経済発展にとって必要なことである。しかし、このことは、併せて生涯学習の主体である個人の自発的な学習への支援とのバランスを欠いた国家主導型の誘導策に偏る危険性も内在させる。加えて、継続教育訓練には、明らかに公務員、大企業といった安定した部門からの受講生が多いことが従来から指摘されており、職種(そこに至る教育・社会階層を内包)による受講率の偏りは否定し難い。生涯学習の歴史的理念である教育機会均等、社会的格差の是正を目指すに支援策にあっても、社会構造的な課題が歴史的にも、そして現在でも存在している。 br> |
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参考文献 ・Claude Dubar, La formation professionnelle continue, 5e edition, La decouverte, 2004. ・Ministere de l'education nationale, de l'enseignement superieur et de la recherche, Le reseau des Greta et la formation professionnelle continue en France, 2004. |
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