登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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(1)青年期の学習課題と社会的支援 青年期を学校・家庭・職場・地域に区分して各学習課題を摘出すると、学業達成、交友関係づくり、親からの心理的離乳・自立、職業選択、配偶者選択、地域社会参加等があげられる。近年青少年の育成・学習環境が不備なため青少年に問題行動が生じることがある。改善策として社会が支援態勢に取組だしたトピックスには、学校のいじめ・不登校・怠学・退学生徒へのカウンセリングやボランティア・職場体験の実践、地域では窃盗・覚醒剤汚染・未成年売春等の非行問題・ニート(NEET)対策等がある。 (2)青年期の学習内容のポイント ア.青年期の期間を延長する 笠原(1977)は、青年が20歳を超えても精神的に未熟で不安定で自立していない傾向を精神医学の立場から指摘している。青年期に見られる対人恐怖、家庭内暴力等のような不安や緊張を外側に向けて発散するアクティング・アウト(acting−out)、無気力さから大学を長期留年するスチューデント・アパシー(student apathy)等が安定するのは、およそ30歳前後であることから、青年期延長を説く。工業化・情報化・高学歴化が青年期延長の原因であるなら、青年にゆっくり時間をかけさせて成人期への道筋を模索させてはどうだろうか。 イ.自己実現の喜びを体験させる 青年が大人社会に同化できず社会的役割を果すのに時間を要するモラトリアム(moratorium)、山田昌弘(家族社会学)が使い広めた用語で寄生する独身者パラサイト・シングル(parasite-singl)、就学、就労、職業訓練をしないニート等は青年の三無主義(アイデンティティ拡散)と親の過保護に責任があると批判されている。職場・地域で大人や青年が楽しく生き、困難を克服する姿を学習体験させるプログラム(農業体験等)が大切である。 ウ.男女共同参画社会づくりの意識啓発 男女共同参画社会基本法(1999年6月)は、男女が共同して、家庭、仕事、学校、地域に参画する時代を形成するために作られた法律である。男女が共に暮らし、仕事・家庭・育児・地域貢献を果たすには、ジェンダー(gender)にとらわれることなく、男女が共に伝統的な性役割意識から解放され、アイデンティティ達成に向けた自己変革学習が求められる。相手の立場に立ち、思いやりの行動がとれるパートナーシップを気づかせる体験が重要である。 エ.異世代交流学習の機会を提供する 青年が自己の能力を自覚して一市民として地域社会に貢献することの意義を理解するには、家庭・学校・職場・地域には異年齢の世代が様々な暮らしを営んでいることを学習する必要がある。乳児院で乳児と触れ合い幼い生命を守り育てることの感動を味わい、保育所で幼児と遊び、生活習慣を身につけさせる楽しさと困難さを体験し、老人ホームで寝たきりであったり認知症で徘徊する高齢者の介護体験等から、異世代交流の中でこそ人の暮らしは豊かになることを体験学習することが求められている。 br> |
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参考文献 ・笠原嘉『青年期』中公新書、1977 ・山田昌弘『パラサイト・シングルの時代』ちくま書房、1999 |
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