登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【定義】 知識社会とは、知識が社会のあらゆる側面や領域において重要な価値を占める社会である。知識を重要な基盤として成立することから知識基盤社会とも呼ばれる。 【説明】 私たちは、生涯にわたる学習活動の中で、学校教育のような初期段階の教育でその後の生活や学習のために必要な基礎的知識や技術を身につける。また、その後の学習活動の経験を通じて、人はまったく異なった経験や知識、そして技術を身につけていく。しかし、いったん学校で身につけた知識や技術が、長年にわたって社会で生きるために役立つとは限らない。時代がまったく新たな知識や技術を必要とする時、旧来の知識や技術では職業や生活を過ごせない状況も生じる。特に、近年の加速度的な情報の蓄積と知識量の増大の中では、生涯にわたってどのような知識や技術を身につけるのがよいのか、その判断や選択が大変困難な社会となりつつある。職場や地域社会では、従来の知識では解けない問題が現れ、既存の知識や技術の受動的学習だけでなく、新たな知識を生み出す創造的学習が求められる社会になりつつある。 この点について、『平成12年版科学技術白書』は、21世紀の社会が科学技術を中心とした新たな知識の開発と社会への適用の重要性が増す社会であるといい、この社会への移行を「知識基盤社会への移行」と位置づける。 この白書に先だちまとめられた「21世紀の社会と科学技術を考える懇談会」の中間報告でも、知識社会への変化と知識の重要性の増大、そして知識を単に伝達する教育から知識を新たに創り出す教育や学習の重要性が述べられている。経済は益々知識の基盤を必要としてくる。しかも、知識は製造業のみでなく、金融等のサービス産業等、多くの方面。さらに、経済そのものが知識を基盤として構築されるだけでなく、政治や外交など社会の多くの領域が「知」を基盤として構築される社会へと移行する。 今後は、教育の重要性が一層増し、知識社会構築のための重要な条件になると指摘している。初等中等教育では、未知の世界への関心を持たせること、自ら考える能力を養成すること、高等教育で、知の最前線の習得と自らを開発する能力を育てることが必要であるとしている。学校教育において、生涯学び続けることのできる意欲と学力を身につけさせる必要があり、知識社会とは、すなわち生涯学習の社会であり、知識社会は、研究者だけのものではなく、すべての国民が担うべき社会である。 たとえば、国際社会では知識と情報をめぐり、ヒトゲノム解析の国際協力などの協働活動が行われる一方、ベンチャー企業等による医薬品開発の特許取得競争のような競争活動も展開されている。また、開発者や企業、そして専門の研究者に加え、その成果を利用する市民、国民もまた、科学技術政策の決定に参加し、その評価や活用を行う主体者としての責任が問われ、世界の変化について十分な知識の習得が常に求められる時代となってきた。深海、海底などの地球の神秘、生命世界でのゲノム研究や遺伝子、そして脳の研究をはじめとする問題への国民の関心や探求心を育み、知の開拓者をどのように育てていくかかが、21世紀の課題であるという。 br> |
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参考文献 ・「21世紀の社会と科学技術を考える懇談会」中間報告(平成11年から12年)「社会とともに歩む科学技術を目指して」http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kagaku/kondan21/minuteth.htm ・『平成12年版科学技術白書−21世紀を迎えるに当たって−』 ・立田慶裕「知識を創る学習−知識と学習のマネージメント」赤尾勝己編『生涯学習理論を学ぶ人のために』世界思想社、2004、所収 |
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