登録/更新年月日:2012(平成24)年12月29日 |
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公共図書館が新しいサービスに取り組むに当たって、図書館職員は、社会と住民のニーズが変化し、新しいニーズが生まれていることを発見している。 (1) 社会背景の変化の認識と予測 1980年以後の20年間、地方公共団体の財政危機と行政改革が進行する一方で、国や地域社会ではさまざまな問題が生じてきた。このような場合、近い将来に困難な事態に直面することを避けるには、現状をもとに近い将来を予測し、その対応策を考えることが必要である。その情報提供施設として図書館を、もっと地域や人々の役に立ち、人々に不可欠なものとすることであった。 (2) 法令・資料等の趣旨の再検討 公共図書館がレファレンスサービスの充実に取り組む際、その根拠として、図書館法第3条第3号の規定が挙げられ、課題解決支援サービスの根拠としては、図書館法第3条第7号の規定が注目された。このような法令の内容は、本来誰でも知っているはずであるが、法令等で述べられている内容が十分理解されているのか、また法令等に則ったサービスが行われているか、絶えず法令に立ちかえり、新たなサービスに取り組む必要がある。 (3)利用者ニーズの調査 ・ 利用者の日常的要求の把握 社会のニーズの変化は、必ず利用者の行動に表れるため、それを率直に受け止めて認識し、積極的にサービスの改革を図る必要がある。ビジネス情報の提供に取り組むことを考えた図書館職員が、予想以上にビジネス関係の質問があることを発見し、図書館サービスの在り方を改善している。 ・利用者調査 日常のサービスの中で利用者のニーズの変化を察知した場合、その項目を含む利用者調査を行うことによって、利用者のニーズの変化を調査し確認することができる。それほど問題意識が明確でない場合でも、利用者調査の結果を分析すると、利用者の新しいニーズを発見することができる。 ・新しいサービスのための利用者調査 新しいサービスを開始するには、開始に先立つ検討期間に、想定される利用者や連携・協力する機関・団体に対して、アンケート調査や聞き取り調査を行い、ニーズの存在を確認し、具体的な内容を把握する必要がある。 (4)行政職員との交流 行政職員との交流によっても図書館は新しいニーズを発見することができた。これは、主に人事異動によって行われ、二つの場合がある。一つは、司書が他の職場に異動して、地域や自治体組織内の情報要求を見出す場合である。他の一つは、図書館に異動した事務職員が、図書館サービスが地域や自治体組織内の情報要求に応えることができることを見出す場合である。 従来、公共図書館関係者には、司書の人事交流に反対する意見が多かったが、期限付きの人事交流は、行政職員の図書館利用の実態やその情報ニーズを把握し、図書館サービスを行政職員に広報する上で役立っている。 以上から、社会のニーズに応えるには、第一に、これらの方法を確実に実施すること、第二に、その結果を組み合わせて体系的に理解すること、第三に、それをもとに、自らの意識を改革し、これまでの制度や仕事を大胆に見直し、新しい方針を提起すること、第四に、問題提起や試験的な試みを積極的に行い、その結果をもとに考え方の検証を行うことが必要となってきている。 br> |
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参考文献 ・山崎博樹「ラーメン屋さんから石屋さんまで 「ビジネス」を助ける図書館 はじめの一歩」(進化する図書館の会編『進化する図書館へ』ひつじ書房、2001年)56-62頁 ・浦安市立図書館『浦安市立図書館利用者調査報告書』2000、14-27頁 |
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