登録/更新年月日:2012(平成24)年2月24日 |
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【自己管理的学習レディネス尺度】 「自己管理的学習(Self-Directed Learning:以下SDL)は、成人の学習の中心概念として位置づけられてきた。SDLは、論者によって多種多様な意味づけがなされているが、代表的な論者の一人であるKnowlesによれば、「学習者自身が、他者の援助の有無に関わらず、自己の学習ニーズを検討し、目標を設定し、学習のための人的、物的資源(情報)を探し、適切な学習方法を選択、実行し、学習成果を評価することをすすんで行う過程」とされる。近年、高齢者教育の研究が進む中、高齢期においてもこうした学習における自己管理性への関心が高まりつつある。SDLは、高齢者の自立を高めるための戦略として、また高齢者の生活の質を高める資源としての可能性も指摘されている。 このSDLに関わる技能や態度を所有していると個人が知覚している程度を評価する尺度に、58項目からなる自己管理的学習レディネス尺度(Self-Directed Learning Readiness Scale:以下、SDLRS)」がある。これは、Guglielminoによって開発された尺度であり、現在、SDLに関わる成人の特性を定量的に把握するための有効な手段として、多くの研究の中で活用されている。 以下では、SDLRSを用いて、高齢者の中にSDLに関連した態度や技能がどの程度備わっているのか、それはどういった特徴を持っているのか。また、それは性や年代、学歴、学習年数によってどのような違いを示すのかを明らかにする。 【分析の方法】 調査は、滋賀県レイカディア大学の学生を対象に行われた。レイカディア大学とは、県内に居住する60歳以上75歳未満の人を対象とし、「高齢者みずからが学び、持てる力をさらに磨き、社会参加や地域づくりにおける担い手として登場できるよう支援する」ために1978年に開設された大学である。SDLRSの58項目は、項目ごとに「あてはまる」を5〜「あてはまらない」を1として得点化した(逆項目(17項目)については、「あてはまらない」から順に高得点を与えた)。そしてSDLRS合計得点の平均値を算出し、t検定あるいは1要因分散分析・多重比較により、性別、年代別、学歴別、そしてレイカディア大学での学習年数別に比較を行った。その後、因子分析(主因子法・バリマックス回転)により、SDLRSに含まれる58項目の構造化を行い、高齢者のSDLのレディネスの特徴を明らかにした。 因子分析の結果は以下のとおりである。まず、初期解における固有値の減衰状況(スクリープロット)、さらに因子の解釈の可能性も考慮して、最終的に5因子を抽出することを適当と判断した。さらに、いずれの因子にも高い負荷量を持たない項目、複数の因子に同程度負荷していた4項目を削除し、再度5因子を指定した因子分析(主因子法・バリマックス回転)を行った。 第T因子は、「学習は楽しい」、「私は、人間として成長し続けることができるように、もっと学びたい」といった項目が高い因子負荷を示しており、「学習に対する好意」と命名された。以下、第U因子は「学習意欲」、第V因子は「学習への自己関与」、第W因子は「学習者としての有能さ」、そして第X因子は「自己学習力」と命名された。 br> |
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参考文献 ・Knowles,M.S.,Self-Directed Learning: A Guide for Learners and Teachers,Association Press Follett Publishing Co.,1975 ・Guglielmino,L.M.,Development of the Self-Directed Learning Readiness Scale,University Microfilms International,1977 |
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