登録/更新年月日:2012(平成24)年2月24日 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
(1)SDLRS合計得点の平均値は高い SDLRS合計得点の平均値は204.69(SD 22.35)点であった。最大値は285点、最小値は124点である。この平均値は、比較するために行った大学生のSDLRS合計得点の平均値185.39(SD 24.12)点を大きく上回るものであった。 (2)学習への自己関与に対する評価は高く、学習者としての能力に対する評価は低い 高齢者は、「学習への自己関与」や「学習に対する好意」といった、学ぶことに対する姿勢や意識に対する評価が高いことが明らかになった。とりわけ、「学習への自己関与」の平均値は4.052であり、非常に高い。一方、高齢者は、「自己学習力(3.345)」や「学習者としての有能さ(3.240)」といった、学習者としての能力に対する評価は相対的に低いことが明らかとなった。 (3)学歴とSDLのレディネスの間には密接な関係がある 学歴別に高齢者のSDLRS合計得点を比較した結果、有意差が認められた。Tukey法による多重比較(5%水準)を行ったところ、「中等教育レベル」群と「高等教育レベル」群との間に有意差がみられ、「高等教育レベル」群の平均値の方が大きいことが明らかとなった。同様の結果は、多くの研究の中で報告されている。例えば、Curryは、フォーマルな学習活動に参加している300人の高齢者を対象に、学歴を要因とする1要因分散分析を行った。その結果、1%水準で有意差が認められ、2群ごとにt検定を行った結果、「学歴が高くなるにつれて、SDLRS得点も高くなる傾向が認められた」ことを報告している。学歴は、高齢者のSDLのレディネスの程度を予測する際の重要な要因の一つであるといえよう。 (4)組織的、継続的な学習活動は、SDLのレディネスを高める レイカディア大学での学習年数別(1年目の学生と2年目の学生)にSDLRS合計得点を比較した時、両群には有意差が認められ、平均値は「2年目」群の方が大きいことが明らかとなった。この結果は、高齢者大学のような組織的、継続的な学習活動が、高齢者のSDLのレディネスを高める効果があることを示している。さらに詳細に検討するために、高齢者のSDLRSを構成する5因子別に、「1年目」群と「2年目」群の合計得点の平均値について、t検定による検討を行った。その結果、一部の因子に有意差が認められた。すなわち、「学習に対する好意」、「学習への自己関与」、「学習者としての有能さ」で5%水準の有意差が認められ、いずれも「2年目」群の平均値の方が大きくなっていた。この中で、特に「学習者としての有能さ」に対する評価に注目する必要があろう。高齢者のSDLのレディネスの特徴として、学習者としての能力に対する評価が相対的に低いことは上述したとおりであるが、組織的、継続的に学習活動に関わる経験が、自らの学習能力に対する自信を深めることにつながっている可能性を示すものとしてみることができる。 (5)今後の課題 今回の研究対象となったのは、高齢者大学で意欲的に学ぶ人々であり、その意味で、今回の分析結果が、高齢者全体の傾向を表しているわけではない。今後、幅広い範囲の高齢者を対象とした同様の研究が進められる必要があり、分析結果も、この特質が高齢者一般にもあてはまるものなのか、それとも高齢学習者特有のものなのか、改めて検証してみる必要がある。 br> |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
参考文献 ・Curry,M.A.,The Analysis of Self-Directed Learning Readiness Characteristics in Older Adults Engaged in Formal Learning Activities in Two Settings,University Microfilms International ,1983 |
|||||||||||||
『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。 |
|||||||||||||
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved. |