生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年1月8日
 
 

市民協働の視点による社会教育関係団体補助金 (きょうどうがたのしゃかいきょういくじぎょうほじょきん)

local government subsidies for association for promotion of social education with the perspective of the government-citizen coproduction
キーワード : 市民協働、社会教育関係団体、市民公益活動促進補助金、社会教育事業費補助金、市民協働型補助金
今西幸蔵(いまにしこうぞう)
1.市民協働の考え方と補助金
  
 
 
 
  【定義】
 各種の補助金のあり方について検討し、その予算化から執行に至る過程において市民協働という政策概念を導入しようとする新しい取組が生まれている。
【説明】
 市民協働は、1990年代に横浜市によって「横浜コード」として提唱され、2000年代に入って全国各地の多くの自治体によって採用されつつある政策概念である。
 大阪狭山市においては、関西地方としては極めて早い時期から、市民協働を政策概念として採用することの検討が開始されている。
 平成13(2001)年8月には「大阪狭山市における市民公益活動促進に関する提言」が出され、平成14(2002)年3月には「大阪狭山市市民公益活動活性化に関する基本方針」が、同年6月には「大阪狭山市市民公益活動促進条例」及び「大阪狭山市市民公益活動促進条例施行規則」が設置された。
 ここで同市が掲げた市民協働の基本原則は、「自主性の尊重」「多様性の尊重」「対等な関係」「自立化の原則」「目的共有の原則」「相互理解の原則」「公開の原則」「評価の原則」の8点である。
 次に大阪狭山市が取り組んだことは、市民協働の視点に立って、平成14(2002)年度における同市の団体補助金(補助金項目は75種類)を見直すことであった。補助金の約95%が非公募によるものであり、交付先も特定されていた。そこで従来の福祉関係団体補助金と文化関係団体補助金を一元化し、市民協働の視点を盛り込んだ補助金制度下での補助金交付を試みたのである。そのために「大阪狭山市市民公益活動促進補助金交付要綱」が制定され、いわゆる市民協働型補助金と呼ばれる制度が誕生したのであり、平成16(2004)年度からはこの制度による団体支援基金制度がスタートしている。
 実際には市からの拠出金があり、これに市民等からの寄付金と同額の市の資金を加え、合わせて事業団体に補助することになる。これには補助対象団体と事業の公募と審査,補助金の時限性といった形で事業の安定実施に関わる担保が行政から求められている。
 補助金の執行については市の責任で行われるが、補助金団体の決定とその後の活動評価については、第三者機関である大阪狭山市市民公益活動促進委員会が担当する。また補助金を得ようとする団体は、補助金申請書の提出、補助金申請のための公開プレゼンテーションの実施、市に対する協力と期中評価を受けること、事業実施後の実績報告書の提出と事業報告会への参加などが求められる。この制度が実施されて5年経つが、これまでは順調に制度の定着化が図られてきており、市民協働型補助金制度が求める団体の自立が進んできていると考えられる。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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