生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2008(平成20)年12月30日
 
 

指導者養成講座の内容と方法 (しどうしゃようせいこうざのないようとほうほう)

contents and methods of educational leader training program
キーワード : 実践力の養成、人材蓄積、宿泊型断続研修、人間関係形成、理論と実践の往復
大島まな(おおしままな)
1.指導者養成講座のねらい
  
 
 
 
  【生涯学習・社会教育の指導者】
 地域の生涯学習活動を支える社会教育の指導者にはさまざまな立場の人が含まれる。大別すると、社会教育関係職員(社会教育主事、施設の専門的職員等)、各種委員(社会教育委員、公民館運営審議会委員、図書館協議会委員、博物館協議会委員、体育指導員等)、民間指導者がある。民間指導者は、学習内容に関する指導者、学習集団の運営者、学習の推進者やコーディネーターなどであり、ボランティアの指導者も含まれる。
 生涯学習は人々の生活のあらゆる領域に広がっているため、指導者の活動領域、専門領域も多様である。
【指導者に求められる資質・能力】
 指導者の種類、立場や活動領域によっても違いがあるが、求められる資質・能力には、おおよそ次のようなものが挙げられる。
1)生涯学習・社会教育および関連領域についての理解
2)学習課題・地域課題の把握と企画立案の能力
3)コミュニケーションの能力(情報収集・提供の知識・技術、相談に対応する能力を含む)
4)組織化・人間関係形成援助の能力(リーダーシップの能力も含む)
5)学習活動を奨励・促進する能力(物的・心的応援や社会的承認の働きを含む)
6)コーディネート能力(各種教育資源の発掘・活用・組み合わせなど関連分野との連携や協働を進める調整能力)
7)学習内容に関する知識・専門性
8)豊かな人間性や熱意、探求心
【指導者養成の目的】
 指導者を養成する目的は、上記のような資質・能力を備えた人材を育成することである。また、地域に埋もれている人材を発掘し、生涯学習活動を推進するリーダーとして育てていくことも重要である。指導者の種類や立場によって、育成のどこに力点が置かれるかは変わってくるが、高度化・多様化した住民の学習要求や複雑化した地域課題に対応するためには、指導者の資質・能力を常に見直し、レベルアップを図っていくことが大切である。
 また、講座を企画・主催する側は、養成した人材をどのように活用するのかを考えておくことが肝要である。特に公金を投資する場合は、研修の費用対効果が問われているのであり、成果を何らかの形で職務や地域社会に還元することが求められている。
【指導者養成講座のねらいと留意点】
 従来型の座学研修では、知識・技術を頭で学ぶことはできても、上記の資質・能力を発揮して実際に地域活動を動かす実践力はなかなか育たなかった。換言すれば、上記の資質・能力の多くが、実践を通してこそ育まれるものであるにもかかわらず、その実践・体験研修の場は少ない。そのため、研修は受けたものの、講座修了後にその成果を生かして地域の生涯学習活動を推進する実践者は必ずしも多くは育たなかった。それゆえ、指導者養成講座のねらいの中核は、実践力を身に付けた実践者を育成することであり、そのための内容と方法を備えた研修プログラムが必要である。
 
 
 
  参考文献
・伊藤俊夫編『生涯学習の支援』実務教育出版、1995年
・三浦清一郎「研修効果を問わなくていいか−『公金投資のアカウンタビリティ』−実践を前提とした宿泊型断続研修における人間関係の形成過程と実践力の養成」社会教育、財団法人全日本社会教育連合会、第62巻6月号、2007年
 
 
 
 
  



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