登録/更新年月日:2007(平成19)年3月3日 |
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1)中央教育審議会答申 生涯学習と学びの関係について示したものとしては、第15期中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(平成8(1996)年7月19日)が参考になる。 「第1部今後における教育の在り方(3)今後における教育の在り方の基本的な方向」では、生涯学習社会における教育の在り方の基本的方向を総論的に述べた後で、次の点について論述している。 ア.学校・家庭・地域社会の連携と家庭や地域社会における教育の充実 イ.子供たちの生活体験・自然体験等の機会の増加 ウ.生きる力の育成を重視した学校教育の展開 エ.子供と社会全体の[ゆとり]の確保 2)生涯学習の特徴 以上の論述で、生活科と生涯学習の関係の深さが推測されるわけであるが、厳密には生涯学習の特徴は何かが示されなければならない。そこで次に、各種資料等を基に生涯学習の特徴を提示する。 ア.地域生活・家庭生活と密接な関連を図りながら学習する。 イ.職業・社会的役割での力の向上を考え学習する。 ウ.内から沸き上がる興味・関心・課題意識・向上への意欲等を原動力として学習する。 エ.学習計画は自分でデザインする。 オ.知識基盤社会・情報化社会においての多様な機会を活用して学習する。 カ.日常生活を確実にそして人間らしく生きていくために学習する。 キ.一人で自分らしく同時に他の人と一緒に楽しく学習する。 以上のように生涯学習の特徴を定義づけてみたが、ここでさらに、生活科の学習が生涯学習の基礎たりうるかを、小学校学習指導要領生活編(平成11(1999)年5月)の「第4章第2節指導計画作成上の配慮事項」の解説をもとに確認したい。そこでは、次の5点を示している。 ア.地域の人々、社会や自然を生かすとともに、それらを 一体的に扱うように学習活動を工夫すること。 イ.自分と地域の人々、社会及び自然とのかかわりが具体的に把握できるような学習活動を行うこととし、校外での活動を積極的に取り入れること。―以下略 ウ.具体的な活動や体験を行うに当たっては、身近な幼児や高齢者、障害のある児童生徒など多様な人々と触れ合うことができるようにすること。 エ.―略― 動物や植物へのかかわりが次第に深まるようにすること。 オ.生活上必要な習慣や技能の指導については、人、社会、自然及び自分自身にかかわる学習活動の展開に即して行うようにすること。 カ.国語、音楽、図画工作など他教科等との関連を図り、指導の効果を高めるようにすること。 【課題】 以上の論述から、地域重視・生活重視・経験重視・人々との交流重視・社会や自然との交流重視・総合的なアプローチ重視等、多様な点で生活科と生涯学習の基礎は共通していることが確認できた。この方向は、総合的な学習の時間における学習活動でも共通するところであり、今後、この発想で各学校でカリキュラムをデザインし、教育活動を展開することが期待される。ただ、課題は、学力低下への課題意識から系統的な知識や技能の習得を重視する傾向が今見られることである。しかし、人が学ぶ究極の意味は人間らしく生活する力を育むことである。その力を育成のためには、必然的に生活を学習の素材・学習の場とすることが必要になる。その際、生活上の課題追求には、知識・技能が不可欠なことは多くの実践が証明をしている。その意味から、前述の「指導計画作成上の配慮事項」の「カ.国語、音楽、図画工作など他教科等との関連を図り」が重要な意味を持ってくる。生活科の学習を有意義なものにするには、合科的なアプローチが有効だということであうる。 br> |
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参考文献 |
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