生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年12月19日
 
 

人材登録・活用システム (じんざいとうろく・かつようしすてむ)

system for the registration and effective use of human power
キーワード : 人材バンク、人材派遣、社会人の活用、特別非常勤講師制度、出前講義
古市勝也(ふるいちかつや)
3.人材活用システム
  
 
 
 
  【説明】
 人材活用システムとは、人材バンク等に登録された豊かな才能や知識・技能を持った人材を学習活動や地域づくりなどの指導者やボランティア活動などに活用する制度のことである。
 この制度は生涯学習社会において、人生経験や職業生活及び学習活動等で獲得した「学び」の成果を生かして社会貢献したい者とその成果を学習支援や地域づくりに活用したい者との両者をつなぐ重要なシステムとなる。個人のキャリアアップ開発、学習ボランティア活動、地域社会貢献活動等の学習支援・学習成果の活用システムとしても期待される。
【活用システムの必要性】
 登録された人材が登録されたままで、活用されないで「人材情報提供」にとどまっていることは、データベースを作っているに過ぎない。活用が促進されなければ、機能的に半分しかその役割を果たしていないことになり、折角登録した人材の自己表現・自己実現にも、地域活性化にもつながらない。この活用システムには、登録された人材の活用が促進されるような工夫と、さらに、活用する側も活用される側も双方が共に有効に機能するように工夫されたシステムづくりが求められる。
【活用システムの構成】
 登録された人材が活用されるには、活用されやすいように工夫された構成が求められる。
1)「申請窓口」の明確化(公民館、社会教育課○○係等々)
2)「申請書類」(様式はできるだけ簡潔に。内容は詳しく打合わせ)
3)「申請方法」(電話よし、FAXよし、詳しくは直接面談申請)
4)「利用対象者の明確化」(学校の授業、部活動、団体活動等々)
5)「登録者の指導・専門領域の明示」(指導領域、指導実績・業績・資格等を明示)
6)「講師謝金・交通費の有無の明記」
7)「教材費・材料費実費負担等の明記」
8)「学習相談窓口」の設置(申請相談窓口を兼ねて学習支援)
【活用システムの活性化の秘訣】
1)人材登録・活用の「運営委員会」を設置(組織として責任を持って機能するようにする)
2)「事務局」の設置(運営委員会の決定事項にしたがって実務を担当する事務局を明確化する)
3)「コーディネーター」の配置(指導者側と受け入れる側とがミスマッチのないように配慮しながらコーディネートする役割が重要であり、社会教育と学校教育の両方を理解したコーディネーターの配置が活性化につながる。)
4)登録者のための指導者研修の実施(a.登録者相互研修で所属の喜び、居場所確認、b.外部講師を招いての向上研修、c.活用受け入れ先との相互研修で、承認・達成感の喜び確認)
5)指導歴・実績や学習歴、及び指導の技術レベルや資格等を明確にする。
6)常に、地域課題・現代的課題等地域の学習要求にマッチした新鮮な人材の開発・登録と活用のためのPRに努める。
7)個人情報の保護については十分な配慮が必要である。
【コーディネーターの存在】
 学習社会は、「学習機会選択援助」機能と「学習成果の評価と活用」機能を促進するには、学習成果を発揮したい人材を把握するとともに、活用したい人材を求めている機関・団体・個人等の情報を把握し、双方を結びつけるコーディネーターの存在が必要である。
 
 
 
  参考文献
・古市勝也「学校への人材派遣」伊藤俊夫編著『学社融合』財団法人全日本社会教育連合会、平成12年3月31日、pp89-92
・飯塚市人材派遣事業『飯塚市における人材(学習ボランティア)の小・中学校・児童センター等への派遣事業』平成10年3月
 
 
 
 
  



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