生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年1月1日
 
 

読書教育の多様な実践と市民参加 (どくしょきょういくのたようなじっせんとしみんさんか)

キーワード : 市民参加、読書教育、学校図書館
赤尾勝己(あかおかつみ)
2.伊丹市立B小学校の学校図書館
 
 
 
 
   伊丹市立B小学校は、平成20(2008)年5月1日現在、児童数は597名(女子307名、男子290名)である。平成20(2008)年3月25日現在、本校図書館は12,534冊を所蔵している。
 伊丹市立小・中学校の職員体制の特色として挙げられるのが、平成17(2005)年秋から、市内全小・中学校に市費職員として配置された、司書教諭か司書の資格を有する「読書指導員」である。小学校では授業に関わっているが、中学校では授業に関わらず常時図書館に居て、図書館を子どもの「居場所」として機能させている。小学校における読書指導員の業務内容は次の7点からなる。
1)「図書の時間」におけるT.T.による指導(全学年全クラス)
2)図書室の掲示物の作成 新刊の紹介や季節ごとの掲示
3)図書委員会の運営 週1回開かれ、5〜6年生の児童による委員会で、 子どもが行う図書当番の割り振りや、掲示物の作成などを行う。
4)毎月の図書だよりの作成
5)行事の企画・運営  「図書まつり」などの学校行事の掲示物作成や子どもの指導を行う。
6)書架の整理 子どもが使った後に随時行う。
7)本の修繕 破損した本を修理して、子どもたちに本を大切に扱うこと を啓発する。
 本校の図書館には、読書指導員と教員用のパソコンが2台、児童用のパソコンが6台設置されている。後者には有害サイトに行かないように制限がかけられている。パソコンは調べ学習で利用できる。
 図書ボランティアは全員が無償ボランティアで、その活動は、本の修理、整理、分類ラベル貼り、小学校1年生対象の朝の読み聞かせ、2時間目と3時間目の業間休み時間での本の貸し出し、掲示による本の紹介、週1回開催される「おはなし会」である。読書指導員との連携がよくとれている。
 筆者は平成20(2008)年9月8日、教育委員会副主幹、教頭、図書館担当教諭立会いの下で、図書ボランティア5名(全員女性)から聞き取り調査を行った。ボランティアの皆さんは、B小学校に通学する子どもの様子を知りたいという動機からボランティアになっていることが窺えた。また、一般市民からの公募というよりも、学校関係者のボランティアであることも判明した。
 伊丹市では、前教育長の提案で、市独自に「ことばと読書」に力を入れている。平成18(2006)〜平成20(2008)年度の3年間、国の構造改革特別区域、小中学校における「『読む・書く、話す、聞く』ことば文化都市伊丹特区」を取得し、すべての小学校3〜6年生で「ことば科」を新設し、言語力向上に力を注いでいる。「ことば科」は、毎週1時間あり、伊丹の特色である俳句づくりや音読、スピーチ、作文などを学年に応じて系統的に取入れながら、国語力の基礎を培う場となっている。
 また、伊丹市では平成20(2008)年度に、兵庫県からの委託を受けて、PTA、小・中学校校長、図書館担当教諭、図書に関するボランティアの代表、公立図書館などの社会教育施設関係者などによる「伊丹市学校支援地域本部実行委員会」を設置して、小・中・特別支援学校での読書支援に取り組んでいる。神戸市に比べて、学社連携が進んでいることが窺える。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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