登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【定義】 経営体が置かれている外部環境に対する情報を組織的に収集・集約・評価し、事業経営の方針・目標設定に資することを目的とする経営手法の一種。戦略的計画化(strategic planning)の最初の手続きとされる。通常、スキャナと呼ばれるボランティア・スタッフが、多様なメディアからの情報を集約し、そこに示された動向や問題を議論しつつ、当該組織にとっての意味を探る一連のプロセスを意味する。 類似の用語としては、「環境モニタリング」(environmental monitoring)、「環境予測」(environmental forecasting)、「環境診断」(environmental diagnosis)、「状況分析」(contextual analysis)などがある。データの評価に主眼が置かれる場合は「環境診断」が、将来的な予測が中心となる場合には「環境予測」の語がそれぞれ用いられるなど、用語間に若干のニュアンスの差も認められる。これらの各用語を「環境分析」(environmental analysis)と総称することもあり、経営体が戦略的経営(strategic management)を進めるための不可欠の手続きとして認められつつある。 【動向】 生涯学習の分野で、環境スキャニングの手法に初めて注目したのは、アメリカの高等教育機関における継続教育部門であろう。18歳人口の減少期を迎え、学生確保のための戦略の必要性に気がつき始めた大学・カレッジ等は、1980年代に戦略的計画(strategic plan)の策定に取り組み始める。当時、公共・非営利組織の多くがビジネス組織の経営手法を導入しはじめており、高等教育機関においても経営戦略の策定やマーケティング手法の導入などを進めていた。専門のコンサルタント業が著しい拡大を見せるのも、この時期以降である。その動きは、やがて継続教育・エクステンション部門にも波及し、成人教育・継続教育関係者の間にも理論的・実践的な関心が拡がっていった。 たとえば、シュミット(Schmidt, J. W.)は、継続教育における戦略的計画化のプロセスを、 (1)環境をスキャンする (2)組織の強みと弱みを調べる (3)戦略的な決定を行う (4)戦略的な決定をプログラム計画に結びつける という4段階で整理した上で、「環境スキャニング」をその最初の手続きとして位置づけている。 シュミットは、環境スキャニングはニーズ調査の考え方を拡張するものであること、したがって定例的になされるべきこと、環境における動向や潜在する変化を明らかにすることを中心とすべきこと、そのためよりマクロで組織全体に関わる視点でなされるべきことなど、いくつかの留意点を指摘している。 具体的な実践例としては、1985年から10年あまり続けられたジョージア大学継続教育センターの環境スキャニング・プロジェクトをあげることができる(「環境スキャニングの手続き」の項を参照)。 br> |
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参考文献 ・徳永豊ほか編『詳解マーケティング辞典(第4版)』同文館、1991年 ・Schmidt, J. M., “The Leader’s Role in Strategic Planning,” in Simerly, R. B. and Associates, Strategic Planning and Leadership in Continuing Education, Jossey-Bass, 1987. |
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