登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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環境スキャニングの内容を具体的に示す事例として、ジョージア大学継続教育センターにおける「環境スキャニング・プロジェクト」の手続きを整理しておく。 ●第1段階:スキャナによるスキャニング プロジェクトへの参加を志願したセンター職員はスキャナとして登録され、好みや特性に応じて、いくつかの情報源(機関誌、雑誌、新聞等)が割り当てられる。各スキャナは担当の情報源に目を通し、センターの事業に関連のありそうな記事の要約を作成し、プロジェクト管理者(Project Manager: PM)に提出する。要約に当たっては、「今日の外部環境を客観的に描写する」「潜在的な変化の兆候を明確に示す」「要約の最初の行に最も重要なことを書く」「可能な限り統計データを含める」「最後にセンターに対する意味にも言及する」など、あらかじめ留意点が示されている。 ●第2段階:PMによる集約 集められた情報の要約は、四半期ごとに評価にかけられる。PMは、すべての要約を詳細に検討し、分類と相互の関連づけを行い、「戦略的計画化ワークシート」に集約する。ワークシートには、要約に示された動向や出来事を簡潔に表現し直した「戦略的思考スティミュレイタ」および「サムネイル・サマリー」も付され、評価委員会へと引き渡される。 ●第3段階:ESECによる評価 上記ワークシートに基づいて、「環境スキャニング評価委員会」(Environmental Scanning Evaluation Committee: ESEC)が開催される。ESECには、環境スキャニングに関わった全職員が参加する。ここでの評価手順は、 (1)各委員はワークシートを見て、優先的に議論すべき事項(6〜7個)を決めておく (2)センターにとって最も差し迫った問題であるスティミュレイタを7〜8個決定する (3)参加者が順番に重要なスティミュレイタに投票する (4)上位4位までの問題について議論し、センターの戦略的計画化に対する提言をまとめる という4段階で構成される。PMは、その結果を報告書にまとめる。 ●第4段階:SPECによる評価 PMは、センター長と数名の管理職からなる「戦略的計画化管理委員会」(Strategic Planning Executive Committee: SPEC)に対し、ワークシート、投票用紙、すべての要約を送付する。会議に先立ち無記名投票が行われ、PMは投票結果を集計し、ESECとSPECの上位6位までの投票結果とともに、ESECの報告書をSPECの各委員に送付する。SPECの会議においては、「ESECとSPECの評価結果の相違点およびセンター経営に対する意味」「ESECの上位3位までの問題」「ESECが取り上げていない問題のうち、SPECが最も上位にあげている問題」などを議論する。併せて、新しい行動計画表を作成する。 ●第5段階:フォローアップ 最後に、センター長はSPECの各委員に対して、SPECの検討結果と決定された活動分担を通知する。一方、PMはスキャニング・プロジェクトの結果を、季刊のニュースレターにまとめ、全職員に配布する。 br> |
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参考文献 ・猿田真嗣「生涯学習機関における環境スキャニングの意義と可能性──ジョージア・センターの事例を中心に」(日本生涯教育学会第20回大会発表資料、未刊行)1999年 ・ジョージア大学継続教育センター http://www.georgiacenter.uga.edu/ |
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