登録/更新年月日:2009(平成21)年7月27日 |
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今日、民間教育文化施設であるカルチャーセンターは、その役割を十分に担い人びとの生涯学習活動を支援している。いつの時代も生涯学習ニーズを的確に把握し、独自の発想で新しい講座を開講することで学習機会の拡大にきわめて努めてきたといえる。 営利という視点から考えた場合、今後のカルチャーセンターの経営には、必要経費のスリム化があげられる。どうしても削減することのできない講師謝礼をはじめとして、単に利益のみを追求するということではなく、多岐にわたる学習ニーズに応えうる多様な講座を運営し、これからの生涯学習社会における人びとの学習活動を支援すべきであろう。 これまでのカルチャーセンターは単価が安く、講座内容もどこも類似していた。しかしこれからは、『講座の高品質、高料金化』された講座が開講されてもおかしくはない。今日における人びとの生涯学習ニーズは多種多様であり、高品質ならば高い受講料を支払っても構わないという人は少なくないはずである。また、時代のブームに乗る講座も確かに必要ではあるが、同時に安定した講座も必要である。 そして、公設民営方式のカルチャーセンターも今後はより促進されるべきであろう。官がハードを作り、民がそこでソフトを提供するという、公設民営方式のカルチャーセンターのさきがけとして有名なのは、平成元(1989)年に東京都荒川区が設立した「区立町屋文化センター」である。 ここでは、企画・運営を民間のカルチャーセンターが行っている。前年の昭和63(1988)年、地下鉄営団千代田線、京成電鉄京成線町屋駅の再開発事業として、駅から徒歩2分という交通至便な地に民間のカルチャーセンターを誘致するため、数社が入札を行ったという経緯がある。この公設民営方式により、カルチャーセンター経営にとって最大の課題点であった高家賃が軽減され、受講料が相対的に安価で済むことが可能となった。 今後は、地域住民の学習要求に応えうるだけのハード面を整備し、その運営は民間に委託するという公共施設との連携が重要になってくるであろう。 最後に、新しい形態の講座開設として、開講スタイルの多様化が考えられる。変化の激しい現代社会においては、人びとのライフスタイルの変化に伴い、その学習形態も柔軟に対応する必要がある。通常、カルチャーセンターにおいては、教室で開講される授業に参加する形であるが、これからは、通信教育での学習形態も徐々に増加していくであろうし、通学授業と通信授業の併用ということも考えられる。インターネットに代表される通信技術の進化および発展により逆にカルチャーセンターのような、集まる楽しさを感じ取れる寺子屋の雰囲気を好む人びとも増えてきている。 物質的にどれだけ豊かになっても、受講者である私たちは結局のところ、どこの学校を卒業したかという学校歴ではなく、どのような場所でどのような学習をしてきたかという学習歴が重要であり、それこそがこれからの生涯学習社会において広く認知され評価されるべきであろう。 br> |
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参考文献 ・瀬沼克彰著『日本型生涯学習の特徴と振興策』学文社、平成13(2001)年 ・白石克己他編著『生涯学習の新しいステージを拓く<第5巻>「民」が広げる学習世界』ぎょうせい、平成13(2001)年 ・蛭田道春編著『生涯学習支援の計画づくり』日常出版、平成17(2005)年 |
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