登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【技術開発の方法】 生涯学習支援技術の開発は技術を実践から抽出するボトムアップ的な手法と理論の公理や公準等から導出する手法に大別でき、前者は蓄積した経験を整理する手法と熟練者の技術を抽出する手法に分けることができる。したがって、次の3つの手法があげられる。 1)蓄積した経験を整理する手法 例として、学習プログラム、社会教育計画、生涯学習推進計画等の立案の技術がある。 2)熟練者の技術を抽出する手法 手続きとして、ア.生涯学習支援の熟練者を選ぶ、イ.対象とする生涯学習支援プロセスをステップに分ける、ウ.ステップごとに、熟練者の技術やノウハウをアンケートや観察により抽出する、エ.抽出した技術を普遍的な要素と地域や時代等の条件によって異なる要素に分ける、オ.条件により異なる技術と条件との関係を検討し、条件に応じた技術を明らかにする、カ.ステップごとの技術を系統づけて全体を構造化し、熟練者に再検討してもらう、等が考えられる。例として、リーダーのためのIT活用チェックリストの開発がある。 3)理論から導出する手法 例として、問題解決技法を使った学習相談技術、ゲーム理論を応用したコーディネート技法等があげられる。 【生涯学習支援技術開発の研究の方向と課題】 生涯学習支援者に求められる能力として未来から発想する設計力や構想力、バランス力等(a)と独自技術(b)をあげ、技術の種類として暗黙知のものと形式知のものをあげ、それらの組み合せから生涯学習支援技術開発の研究の方向を検討すると、次の4種類の研究があげられる。 1.未来から発想する設計力や構想力、バランス力等(a)の暗黙知についての研究 2.独自技術の(b)の暗黙知についての研究 3.独自技術(b)の形式知についての研究 4.未来から発想する設計力や構想力、バランス力等(a)の形式知についての研究 これまでは1および2についての論議が多かったため、抽象的な議論で終わる傾向がみられた。しかし、これからは3の独自技術(b)の形式知化に取り組んだり、どこまで可能かわからないが、4のところにも挑戦したりする必要がある。 4について具体的に述べると、予測能力、バランス力、戦略的構想力をもつためには、推計値などを用いて多変数の要因を操作したり、多値論理で思考したりすることが考えられる。山本恒夫は、創造型生涯学習の可能性を探るには、多値論理学の論理計算、非単調論理、関係計算なども取り入れて新たな研究法を創り出していく必要があると指摘している。そこで、多変量解析、非単調論理等の多値論理、さらには融合法等を用いて、未来から発想する設計力や構想力、バランス力等(a)の技術開発の可能性を探ってはどうであろうか。また、戦略的構想力については、経営学等でも盛んに研究されているので、それを活用することが考えられる。 【生涯学習支援技術マップの作成】 生涯学習支援者が必要に応じて技術を身につけ活用できるように、形式知化された技術の一覧である「生涯学習支援技術マップ」を作成してはどうであろうか。技術の種類を表頭にあげ、表頭に例えば「基礎・基本」「中級向き」「専門家向き」等のスキル・レベルをあげてマップをつくることが考えられる。また、このようなマップを作成しておけば、技術開発の未開拓分野がわかり、研究開発を進める手がかりになる。 br> |
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参考文献 ・浅井経子「生涯学習支援者に求められる技術の開発」日本生涯教育学会年報25号、平成16(2004)年 ・浅井経子「生涯学習支援技術開発の課題」日本生涯教育学会論集26、平成17(2005)年 ・山本恒夫「高度情報通信技術の活用による創造型生涯学習の推進」(財)日本視聴覚教育協会『メディアを活用した生涯学習活動の促進に関する調査研究報告書』平成14(2002)年 ・野中郁次郎『知識創造の経営』日本経済新聞社、平成2(1990)年 ・野中郁次郎、阿久津聡「ブランド知識創造のケイバビリティ」『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』第6巻8号、平成13(2001)年 |
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