登録/更新年月日:2008(平成20)年12月24日 |
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【サークル活動】 戦後の地方文化運動の爆発的広がりは短期間で終わるが、その消長と前後して1950年代に、都市部・農村部双方において拡大したのが、地域や職場でのサークル(小集団)による学習活動である。これらの学習活動は、生活知識や芸術、教養、反戦・平和運動に関わる学習など、様々な内容が見られた。農村における青年団を基盤とした共同学習や、また都市部において専業主婦が学習サークルを組織する例などが、特に50年代の特徴として注目される。話し合いを通した課題解決型の学習、生活記録を通した学習、といった学習方式がサークルを基盤として各地で実践にうつされたのもこの時期である。ただし、話し合い学習、生活記録といった学習方式の広まりは、他方で学習活動の形式化を生み出すことともなり、1950年代後半にはその限界がしばしば指摘されることにもつながった。 これらのサークル学習の傾向として、1950年代においてはサークル活動に対する政党や労働組合との関係が強かったのに対し、60年代以降、社会運動的側面や政治的側面を伴わない趣味・消費的活動を主とするサークルが多数派を占めるようになっていったことも挙げられる。 【住民運動と学習活動】 1950年代末から60年代にかけて、地域における民間の学習活動は、高度経済成長に伴う急激な社会構造の変容により、その活動の基盤も著しく変化していく。農村部においては、都市部への人口流出、農業兼業化による生活構造の変化などを背景に、地域の婦人会、青年団など旧来からの地縁団体は次第に学習者を引きつける力を弱めていった。 他方、都市部においては、工業生産の拡充が政策的に強く推進される一方で、生活者・消費者を保護するための政策的・制度的対応は後手に回った。その結果全国各地で発生した水質汚染・大気汚染・騒音などの公害や、粗悪な食品・生活用品の生産・流通・販売に対し、異議申し立てを行う住民運動が生成していった。これらの住民運動は、企業や行政に対する要求を行う中で、学習活動を伴う動きとして展開した。 例えば、都市部における公害反対運動の中には、公害の現状を把握・分析して企業や行政に提示するという学習活動の側面が見られた。また、各地の公民館などで主婦を中心として展開された生活学校運動では、食品・生活用品などを調査した上で、生産者(企業)側に改善を求めるという活動が展開された。 br> |
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参考文献 ・国立教育研究所『日本近代教育百年史8 社会教育(2)』教育研究振興会、1974年 ・天野正子『「つきあい」の戦後史 −サークル・ネットワークの拓く地平−』吉川弘文館、2005年 |
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