生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2012(平成24)年9月25日
 
 

中高生の地域ボランティア活動 (ちゅうこうせいのちいきぼらんてぃあかつどう)

キーワード : 地域ボランティア活動、生徒指導、特別活動、キャリア教育、参画
藤原靖浩(ふじわらやすひろ)
3.これからの地域ボランティア活動の研究に対する提言
  
 
 
 
   現在行われているボランティア活動に関する研究の内、中高生を研究対象としたものは、そのほとんどが学校単位で行われたボランティア活動を研究対象として、その有用性について述べたものである。しかしながら、特別活動に関係が深い学校教育法(平成19(2007)年改正)の第21条の中で、義務教育の目標として「一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」が掲げられているように、今後のボランティアに関する研究は幅広く学校外における社会的活動を対象にして進められるべきである。
 特に、これまで研究対象とされてきた中高生による地域ボランティア活動は、学校や大人が計画し、すべて準備を終えたところに、お客様のような形で中高生がボランティアとして「参加」するものであり、彼らが自発的かつ主体的に「参画」したものではなかった。そもそも、中高生が学校の教育課程外において、自発的かつ主体的に地域ボランティア活動に参画できるような機会を提供することは、非常に困難なことである。その理由として、
1)中学生・高校生は日中、学校に拘束され、平日・休日問わず部活動に励んでいる子どもも数多く、ボランティア活動に計画段階、準備段階から参画することは非常に時間的な制約が伴うこと、
2)教育課程外で行われる地域ボランティア活動への参画は、子どもの住む地域社会を中心に行われることが多く、中学生はともかく、日頃自分の住む地域社会から離れて、電車で通学する高校生にとって、自分の地域社会への愛着を持つことが難しいこと、
3)実際に中高生が地域ボランティア活動を行っていたとしても、その活動が埋もれてしまい可視化されづらく活動の輪が広がりにくい状況があること
の3点が考えられる。以上のような理由で、これまで中学生・高校生が学校外でのボランティア活動に参画する機会が少なく、また実践記録以上の研究対象としては捉えることが困難であったと思われる。
 つまり、これまでに行われてきた中高生を対象にした地域ボランティア活動の研究では、彼らの積極的な参画という面では不十分な点があったと言える。子どもの地域活動参画を推進したロジャー・ハートも「子どもたちは、直接に参画してみてはじめて、民主主義というものをしっかり理解し、自分の能力を自覚し、参画しなければならないという責任感を持つことできるようになる」と述べ、あらゆる社会的活動と物理的環境をつくり出す上で、子どもの参画が必要不可欠であることを主張している。社会的活動を推進している水野も、「若者が自らの持っている力を発揮して市民としての権利と責任を果たす主体となれる機会を提供する、という意味での参加の提供」が必要であると述べている。中学生には小学校で身につけてきた力を、高校生には小学校・中学校を通して身につけてきた力をそれぞれいかんなく発揮することができる機会を提供し、それらの力が実際の本番でどのように活用できるのかについて、地域ボランティア活動、特に参画型の地域ボランティア活動を通して学ぶことが必要である。将来の地域社会を担う中高生の自己実現が、参画という視点を取り入れた新しい地域ボランティア活動を通して、地域社会全体で支えられることを期待したい。
 
 
 
  参考文献
・IPA日本支部・奥田陸子他訳・ロジャーハート著『子どもの参画−コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』 萌文社、2000年。
・水野篤夫「子ども・若者の居場所の条件」『子ども・若者の居場所の構想』、2001年、pp. 204-225。
 
 
 
 
  



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