登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【定義】 キャリアとは、仏語carriere「車がいく道」を字義としている。キャリア教育におけるアメリカの第一人者Superはキャリアを「人生の一連のプロセス(D.E.Super、1979年)」と定義した。キャリアとは人の生き方そのものをトータルにとらえる「ライフキャリア」と、仕事に就き自律して生きる視点を入れた「ワークキャリア」の二方向性をもつ。日本ではアメリカに約30年遅れて認識されるようになった。 【説明】 『なぜキャリア教育なのか』の問いは、労働経済白書(平成16年.9月、厚生労働省)による働く意思のない『ニート』や定職を持たないフリーターなどの若年労働者の増化警告にある。これからの日本において安定した生活の維持は社会政策システムに基づく切実なテーマであり『キャリア教育』が非常に重要な課題となる。 一方、ビジネスワーカーの間で『キャリア開発』が急速に意識されるようになってきた。日本の仕事を取り巻く現代社会に次の変化が読み取れる。 (1)企業と個人の関係の見直しにまで話が及ぶ結果となった。終身雇用などの慣行を維持できなくなり、会社と個人の関係は契約的価値を生み出す主役が一定の成果を生む個人に注目されるようになった。会社自体の存続の保証がないため一人ひとりが『自分ひとりで一つの会社経営を維持していく』ほどの意識と判断力が求められている。 (2)常に選ばれ続けるものとそうではない二極分化の兆しがある。一定の成果に対してその都度対価を支払っていく仕事力(work-forth literacy)の維持開発は『自己責任』でという考え方である。 初期キャリアにたつ若い新卒に限らず中高年、定年まで自分らしく勤め上げるワークキャリアをデザインすることは、生涯継続するテーマである。 社会経済全体の大きな変動期に小学校にキャリア教育を、高校の進路部では志望先の大学・短大の将来性に目を配ること、将来の自分をイメージさせ自分の行く先を自分で考える時間を提供することが必須となっている。日常の授業科目をとおして、複数の教員がスキルを付与し、発達を促し、年齢相応の意識改革、能力開発が必須である。日常の学習生活において、学びが「苦しい」から「楽しい」へ転換する体験をもたせることが期待される。 高校の総合学習とその延長線上にある大学の学生に対する教育改善がどうなされているか、学校ごとの特性を活かした大学の初年時からキャリアカウンセリング論、自分創りのキャリア心理学、仕事の流れを体感するプロジェクト学習、苦手意識を克服する人間関係に焦点を当てたテーマ授業などのキャリア開発を意識したカリキュラムの実施がある。社会と接点の少ない学習者に『大人のモデル』に接する機会を与え、協調と主体性が優先される授業形態を開発する必要がある。一方的な講義形式で知的情報を伝える従来型から日常生活における「自立」と他者をも包含した「自律」を目標に、生涯にわたって学び続けようという意欲を醸成する目的をもつ。学習者と相互に影響し合う教員サイドにFD研修の重要性が裏打ちされなければならない。 br> |
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参考文献 ・ワイアット人事コンサルティングチーム著『若者の力を引き出す人事サブシステム インパクトプログラム』経営書院、1999年 |
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