登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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新規卒業後スムースに学習者を社会へ送り出すにあたり、初期キャリアのスタート時のわずかな差が後の格差を生むことになる。『自分探しではない、自分創り』のための支援としてキャリアカウンセリングは重大な機能を果たすものである。若き人々がよりよい人生の道を歩むために、今ある自分を受け入れ、社会全体のなかで今現在どこに位置しているか。平均的大学生と比べると発達課題に片寄りはないか。卒業後、仕事に就くことを前提とすると仕事力をつける基礎的能力にどのようなことがあるか、弱点や補足する視点を知り、その人の人間的資質を高める問いかけを繰り返し、気づきを付与する。 独りよがりの解釈や思い込みが重圧になって、自分の心を辛くしているマイナス思考を変えるヒントを出す。自分の持つ価値観と家族のもつ認識、周囲の人間に押し込まれている他者の価値観の多様性を知る。行動パターンを変えてみる勇気、感情を豊かに表現する支援をする。キャリアカウンセラーは学習者に吟味した問いかけを繰り返し、一段質の高い個人創りを目指すために、教え込むのではなく、自分自身で試行し、困難に出会って乗り越える経験を積むことを勧めている。学習者の意思で自分らしい幸せを手にする『自分創り』は、学習者の卒業後にまで及ぶ人生のプロセスに介入する重要な役割機能をもつ。 キャリア教育を行う教員と学習者双方に影響を及ぼす課題には、次の4点がある。 (1)学習の達成目標は育成しようとする能力の本質を吟味し、ありのままを受け入れ、学習者能力の実態から目標をたてる。 (2)意欲の欠如には、学習者に参画させ、体験をすることによって、沸き立つ感情を起こす経験をさせる。困難を避け続けるには、時間的限界、修業年限までなどに限定する基本的ルールを徹底して実行する。 (3)学習習慣の欠如に対してプロセスを記録し自己評価をつける。 (4)ライフキャリアを描く目的、生活の必要、自己の充実、他者とのつながりを意識させた知的な学び方へ移行させる。才能とは自分らしさを知ることから始まる。他者の評価に慣れている学習者に自らの心のなかを探ることにより、自分にしかわからない才能を開花させることができる。 自分らしさは行動を起こす「やる気」に秘められている。やる気を出す出せないは脳にある。(1)自分のしたい仕事と(2)周囲のひとが望んでいること(3)人と社会とのつながりを考える、他人との関わりが持てるの3つの軸が一致したところに本当のコミュニケーションが成り立つ。日々一生懸命やることで脳が鍛えられる。楽しいこと、夢をもつこと、幸せな感情をもつこと、実現するように強く望むと脳が喜ぶ。従って心が軽く弾む。大脳生理学の知識を活用して科学的アプローチにより、ワークキャリアを支援する側も、女性の知的自律を図る知的研究を進めることが課題である。 br> |
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参考文献 ・IDE現代の高等教育No.315 『最近の大学生と授業』民主教育協会、1990年 ・高野清純監修,佐々木雄二著『図で読む心理学「生徒指導・教育相談」』福村出版、1999年 ・ 武田忠著『学ぶ力をうばう教育』新曜社、1999年 |
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