登録/更新年月日:2011(平成23)年1月1日 |
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本稿では、子どもたちの読書教育の実践と、それを市民がどのように支えているかを探るために、平成20(2008)〜平成21(2009)年度に、兵庫県内の2つの公立小学校の学校図書館を訪問調査した成果を報告する。 神戸市立A小学校は、昭和58(1983)年4月1日に開校した。平成21(2009)年4月1日現在、児童数は565名(男子297名、女子268名)で、教職員は39名である。本校の教育の特色として、「図書館教育を教育活動の柱とする」が掲げられ、「本の好きな子を育てる」ことが明示されている。平成21(2009)年3月31日現在、本校図書館は13,361冊を所蔵している。 自ら学ぶ子どもを育成するために、本校ではブックランドとしての図書館(「図書室」と呼ばれている)と、調べ学習を行うスペースとしての「博士の勉強室」が設備されている。前者では、子どもにとって使いやすいように、書架の下の段から低学年、中学年、高学年と本を配架している。後者には、調べ学習用の図書やビデオテープが置かれている。 朝読書は、「おはようどくしょ」という名称で、4〜5月、11〜12月、1〜2月の各5週間、年間計15週の火曜、水曜、木曜の朝10分を充てている。子どもが読む本の内容は自由であるが、漫画は禁止されているものの、絵本は内容によって許可している。運動会や学芸会等の行事の前に行われていない。 学校図書館への市民参加の一形態である図書館ボランティアとして、保護者およびそのOGから構成されるボランティア「にじのくに」があり、平成21(2009)年4月現在、26名が活動しており、読み聞かせグループとブックランド内の業務に関わる2グループに分かれている。前者は、低学年の児童を対象に毎週金曜日、中学年から高学年の児童を対象に毎月第1金曜日の20分休み(2時限と3時限の間)に、ブックランド、多目的室、音楽室、博士の勉強室に分かれて、読み聞かせを行っている。後者は、夏休みと冬休みに、本の整理とデーターベース化の作業(ラベル貼り、入力)や修理を行っている。また、年1回、講演会を開催している。 ところで、、読み聞かせボランティアについては、これとは別に、「こうべ子ども文庫連絡会」という約120名から構成される組織がある。2008年度には、6つのグループが19小学校で209日、計863回のお話会を実施した。同連絡会は、「子ども文庫やお話会で活動するグループおよび個人が集まり、ボランティア活動を通して、すべての子どもたちの読書環境を豊かにする」ために結成されたが、「にじのくに」はこれに加盟していない。同連絡会では、ボランティア活動の力量形成の場として、実技講習会(わらべうた、ヴォイストレーニングなど)、学校図書館についての学習会・交流会、見学会、および研究会として毎週火曜日に「絵本研究会」または「おはなし研究会」を開いている。 筆者がインタビューを行った国語科の教員は、「本をたくさん読む子どもは、子どもの心の中に豊富な地下水を持っています。そうした子どもは、自分が読んだ文章についての要約力に優れています」と話した。また、同席した同校校長は、「読書と国語力にはつながりがあります。話す力をつけるためには、本を読まないと、生きた力にはなりません」と話した。(A小学校校長室で平成21(2009)年10月23日)こうした教育現場での当事者の実感をさらに掘り下げて調査することが求められよう。 br> |
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参考文献 |
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