生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月4日
 
 

熟年大学 (じゅくねんだいがく)

senior college
キーワード : 高齢者学級、老人大学、社会参加、公民館活動、学習参加の効用
塩谷久子(しおたにひさこ)
3.熟年大学における学習支援の課題
  
 
 
 
  【学習支援の課題】
 熟年大学における学習支援体制の整備に関する課題を検討すると以下の5点が挙げられる。
1.学習情報提供システム整備の必要性
 学習情報提供は生涯学習支援の重要なポイントである。平成13(2001)年に東広島市生涯学習推進本部が行った調査でも、高齢者の学習阻害要因の1つは情報的要因であった。すなわち、学習機会の内容・場所に関する情報が入手できないという回答が高齢者に多かった。高齢の学習希望者に必要な情報提供援助システムの早期整備が必要である。施設間のネットワーク化、情報提供窓口の一本化及び学習情報データベースの作成も急務である。それとともに相談システムも考慮すべきである。
2.学習機会の場と参加手段の支援
 高齢者が無理なく参加できることを考慮するとコミュニティレベルで提供される身近な学習機会の存在が重要である。前述の調査によれば、学習阻害要因として「身近なところに施設や場所がない」という回答が多かった。「地域分散型学習機会」の整備と参加手段への支援が必要である。地域住民の生活圏を中心にした「地域分散型学習機会」の整備は高齢期の学習をより促進するであろう。すなわち、学習参加の最初の動機は容易に行ける身近な施設への参加であり、ここから始まり次第により高次な学習へ発展させていく可能性が高い。
3.プログラムの質と多様性
 提供されているプログラムに関しては、高齢者観の変化に対応していない面もある。情報社会化、高学歴化、個別性の重視及び高齢者の能力の維持等を勘案すると、講座のプログラムには多様性が求められ、その質も高いことが要求される。さらに、希望する講座が現在、開設されていない場合や非常に個別的で講座を開設しても学習希望者が多く集まらないと思われる場合は自主学習グループをつくる等の努力も必要であろう。
4.学習成果の評価と活用支援
 高齢期の学習は人間的成長や自己実現的活用を目的とすることが多く、学習者自身が評価という言葉になじまず、成果の評価について違和感を持つ人も多い。しかし、他の学習機会への参加や継続を考慮すると単位互換のための単位認定という考え方も必要である。さらにキャリアデベロップメントの立場から、資格や免許につながる学習成果の認定の場合もある。
 高齢者の学習成果の活用支援には教育行政、福祉行政という行政側のみの支援ではなくNPOをはじめとする民間の力や自助グループが自らの力を出し合うことも必要である。
5.相互扶助型学習システムの構築
 自力で学習機会に参加できる人ばかりが学習を保障されるのではなく、在宅や施設で外出の不自由な高齢者や介護中の人への学習の支援も必要である。これは福祉政策と並んで生涯学習の施策として位置づける必要がある。行政サイドに全面的に依頼するのではなく、高齢者自身が相互に助け合うシステムの構築を考えたい。身近な施設と連携し、相互に支援しあう方法もあり得よう。
 
 
 
  参考文献
・山本恒夫『学習情報の提供と活用』実務教育出版、1984年。
・池田秀男「生涯学習体系への移行と地域基盤の整備」『広島大学教育学部紀要』第1部第37号、1988年、45-55頁。
・佐々木正治「アウトリーチ」日本生涯教育学会編『生涯学習事典』東京書籍、1992年。383頁。
・山本恒夫「学習成果を活用するために」『教育委員会月報』12月、1996年、4-8頁。
 
 
 
 
  



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